新興国に”教育革命”を起こす、24歳の日本人

新世代リーダー 税所篤快

税所 篤快
e-Education Project Japan代表
税所 篤快
1989年東京生まれ。2009年にバングラデシュに渡り、グラミン銀行グループの研究ラボ初の日本人コーディネーターに就任。翌年、グラミン史上最年少で事業「e-Educationプロジェクト」を立ち上げる。その後独立し、バングラデシュの貧困地域の高校生を対象に映像授業を行う。現在は世界8地域で活動する。最新著書に『「最高の授業」を世界の果てまで届けよう』
 今、ひとりの日本人がバングラデシュなどの新興国で教育革命を起こしている。その名は税所篤快。彼が手掛けるのは、映像を使って、途上国・新興国に教育イノベーションを起こすe-Educationプロジェクトだ。バングラデシュでは、農村部の貧困層に映像で授業を届け、“バングラデシュの東大”と言われるダッカ大学の合格者を生み出した。
 リクルート出身で民間人として初めて東京都の公立中学校校長を務めた藤原和博氏が、「今いちばんリーダーシップがあって、普通の会社で収まらないようなパワーのあるやつ」、そして「今いちばん応援している」人物として名前を挙げる税所氏。現在24歳の彼に、これまでの歩みと、今、取り組んでいる課題、そして「グローバル戦力」として海外で結果を出すためのヒントを聞いた。
 (本記事は、BBT大学で開催されたフォーラム、「『今そこから、世界が欲しがるグローバル戦力になろう!』」の内容を編集したものです。講演の映像はこちら

現役大学生がバングラデシュに革新を起こすまで

――なぜ日本の現役大学生がバングラデシュの片田舎で教育を手掛けることになったのでしょうか。そのきっかけを教えてください。

このプロジェクトが始まったきっかけは、高校時代の数学のテストの点数が、100点満点中2点だったことにあります(笑)。そのとき、出会ったのが、衛星予備校の「東進ハイスクール」。同校はフェイス・トゥ・フェイスの授業をやらず、全部、ビデオ学習の授業を行っていました。この授業を受けていたら、ひどい成績だった僕が、1年後には早稲田大学に合格することができました。

この経験から、「東進ハイスクール」のビジネスモデルを、先生不足に悩む途上国でマネすれば、インパクトのあるイノベーションを起こせるのではないかと思ったのです。

最初に、バングラデシュの最果てのハムチャー村という場所でビデオ学習を実践したところ、受講生30人の中から、ダッカ大学の合格者を出すことができたのです。ほかの生徒たちも10人、20人と、どんどん大学に受かっていきました。これを現地のメディアが「ハムチャー村の奇跡」と呼び、「日本から来た若者とバングラデシュの大学生が教育革命を片田舎で起こした」と報じました。これが2011年のことです。朝日新聞では「バングラデシュ版『ドラゴン桜』始まる」という見出しで記事になりました。

僕たちは「サンダーバード」になりたい

バングラデシュの経験を生かし、同様の取り組みを世界の8地域に広げています。

たとえば、パレスチナのガザです。ガザは、5~6メートルもある高い壁が取り囲んだ10キロ×40キロの地域に140万人が住んでいる場所で、文字どおり“刑務所のような街”です。ここに小学生が27万人いるのですが、そのうち30%が学習障害(LD)なのではないか、という予測をフランスのコンサルティング会社が出しています。

ガザには学習障害の子どもたちに特別支援教育を行う18人の先生たちがいるのですが、実は彼らは学習障害に関する専門知識がほぼありません。かといって、壁のせいで専門家も送れない。そこで、中東でアラビア語のわかる学習障害の専門家を探し、その専門家を講師にして、18人の先生たちにオンライン授業を行いました。まだまだ27万人の30%をカバーするには足りませんが、小さな火種は灯すことができたのではないかと思います。

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