新興国に”教育革命”を起こす、24歳の日本人 新世代リーダー 税所篤快
もうひとつ、最新の事例を紹介します。東ヨーロッパ、ハンガリーの小学校には、30人に2~3人はジプシーの子どもがいます。先生やほかの生徒たちには彼らに対する偏見があり、それを感じたジプシーの子どもドロップアウトしてしまいます。ジプシーの子どもたちの中学校進学率は2割程度です。小学校すら卒業していない人は職が見つかりづらく、ジプシーの失業率が上がっていく。負のスパイラルです。
そこで、スタンフォード大学で教育を学び、ハンガリーの小学校の校長を務めるエメザさんという方に協力してもらいました。彼女の授業を受けたジプシーの子どもだけは中学進学率が9.5割ととても高い。ならば、そのノウハウをハンガリー中の先生たちに全面公開しようということになりました。今週末からインターネットでオープンにします。ただし、それだけではインセンティブがないので、学んだ先生たちの中で、優秀だった方には豪華日本旅行をプレゼントすることにしました。
僕たちには目指している姿があります。それは「サンダーバード」です! サンダーバードは国際救助隊ですが、僕たちは国際教育救助隊になりたいんです。電話1本で世界の教育の危機に駆けつける。
プレゼンは「禅」の気持ちでシンプルに
――世界で結果を残すために、もっとも重要なことをひとつ挙げるとすれば何でしょう?
「相棒」です。これは相棒と書いて“ビジネスパートナー”と読みます。僕たちのチームが現地でいちばん大事にしているのは、どういう相手とパートナーシップを組んで、プロジェクトを組成して、契約を結んで、ターゲットとなる生徒あるいは先生にサービスを提供するかなんです。すべてはどういう相棒を得るかにかかっています。
バングラデシュではサービスを提供して4年目になるのですが、日本人メンバーはいません。僕の大事な相棒、マヒンをはじめとする現地パートナーがすべてをやっています。僕は東京で資金集めだけを担当しています。バングラデシュでの授業が現地で受け入れられ、現地メディアでも報じられているのは、現地パートナーがしっかりしているからなんです。