新興国に”教育革命”を起こす、24歳の日本人 新世代リーダー 税所篤快
――相棒はたしかに大事かもしれませんが、異国で相棒を手に入れるのは簡単ではないですね。
現地のいいパートナーを見つけるためには、2つポイントがあります。ひとつは「禅」です。『プレゼンテーションZen』というベストセラーがありますが、僕はそれが大好きです。
その本では、シンプルなプレゼンを推奨していました。外国へ行ってプレゼンテーションを行うとき、とにかくシンプルなアイデアでないと伝わりません。僕が何かを説明するときは、2枚の写真だけを使って説明しています。たとえば、0点の答案の写真と、映像授業を経た結果の答案の写真2枚を見せるだけで、つたない英語でも相手には伝わります。
もうひとつ大事にしているのは、「俺はやっているぞ」、と“後姿”を見せることです。そうすれば、「あ、コイツはマジなんだ」とわかってもらえます。バングラデシュは、企画もシンプルだったし、僕もやる気でした。日本人が自分の国の教育格差のために動くという感動と、もう実際に動いているという刺激が、パートナーのマヒンの中で熱意を生み、すばらしい仲間になってくれたのだと思います。
彼が本気になると、ネイティブなので僕より10倍も100倍も仕事が早いのです。いつの間にか僕がビハインドになっていて、3カ月後には僕のやることがなくなり、彼が全部やるようになっていました。プロジェクトのオーナーシップは彼に移ったのです。
「突撃! 著者インタビュー」で突破力をつけろ
――では、「世界で結果を出す力」はどうすれば身に付くのでしょう? おススメの方法などがあれば教えてください。
僕がバングラデシュに行くきっかけになったのは、『グラミン銀行を知っていますか』という1冊の本です。それを読むと、バングラデシュに貧しい女性にしかおカネを貸さない不思議な銀行があるらしい。これはすごい! と思って、僕がとった行動は「突撃! 著者インタビュー」です。
まず、著者の坪井ひろみさんの名前をグーグルで調べたら、秋田大学の教授ということがわかったので、秋田大学の代表電話に電話をかけました。「坪井先生の研究室にお願いします」とそれらしく言うと、つながるんですよ(笑)。「先生の本を読んで感動しました。ぜひお話を聞かせてください」とお伝えしたら坪井先生が快諾してくれたので、その日の夜行バスに乗って秋田まで行きました。それがすごくいい出会いになりまして、ぜひともバングラデシュに行きたくなり、早稲田の友達を誘って行ってしまったんです。
この方法は、過激かつクリティカルな僕のおススメの方法です。突破力も幸運も引き付けることができますので、本を読んで感動したら、ぜひその著者にコネクトしてもらいたいですね。
著者の人は話を聞きに来てくれるとうれしいんですよ。読者が50人いても、49人は著者に連絡なんかしないんです。だから、たまに来る激烈なアプローチが喜ばれる可能性が……4割6分ぐらいあるのです(笑)。その可能性に懸けるのなら、悪くない懸けだと思います。