IT革命で潤うのは「トップ1%」だけ 『機械との競争』著者のアンドリュー・マカフィー氏に聞く

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米国で長引く失業問題。その背景には、景気循環やグローバル化以外に、IT革命の影響がある、と警鐘を鳴らすのが、『機械との競争』の共著者であるアンドリュー・マカフィー氏だ。同書で指摘された、コンピュータの発達が中間層の仕事を奪うという構図は、日本にとっても対岸の火事ではない。
とどまるところを知らないITの進化。ただ、その恩恵を受けているのは、トップ1%の人間ばかりだ(写真: Bloomberg via Getty Image)

中間層の将来はかなり暗い

――IT革命が米国の中流層の雇用を奪っている、と指摘しています。

現在、米国経済を形作っている主因は3つある。まず、不況と景気回復。次がグローバル化、あるいは、中国やインドなどへのオフショアリング(外国への業務委託)。そして、テクノロジーだ。このうち3つ目のテクノロジーが、とりわけ長期的な意味で大きな影響力を持つ。言ってみればグローバル化は、テクノロジーによるオートメーション化への道程の一歩にすぎない。

 こうした要因に直撃されているのが、中流層だ。中でもホワイトカラーの知識労働が、テクノロジーによって最も大きな打撃を受けている。最大の犠牲者は、警察官でもなければ、調理師でもない。中流層の将来は、かなり暗い。景気後退で最も多くの仕事が失われ、創出された仕事が最少なのが、この層だ。米国の中流層は、15年前より富も収入も減っている。米国経済は成長し続けているが、富の配分に変化が生じている。

これに対し、IT革命の恩恵を受けているのは、トップ1%だ。テクノロジーは低スキルの人材より、高度スキルの人材に有利に働く。「その他大勢」を犠牲にして、「スーパースター」を後押しする。また、テクノロジーは資本の一形態であるため、投資家が大きな恩恵を受ける。こうした動きは、グローバルなものだ。

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