2030年 あなたの仕事がなくなる 将来、あなたを襲う危機
20XX年──。人類はついに有史以来の「夢の社会」を実現しているかもしれない。
SF世界のようなロボットやコンピュータの革新が現実のものとなり、人類全体が消費する生活必需品やぜいたく品、サービスなどの生産をわずかな人(たとえば全人口の1割)の労働で賄えるようになるのだ。
そこでは工業製品から農産物まで、すべての生産を担うのは巨大な無人工場だ。コンピュータはいよいよ人工知能の域に近づき、文書の読解・作成や翻訳、会計・販売業務、自動車の完全自動運転など、代替が難しいといわれていた種類の労働も次々とこなせるようになる。こうして多くの人が、働かなくても何不自由なくモノやサービスを消費できる社会が到来するのである。
人類の“桃源郷”は実現したかに見えた──。
生産能力が拡大した人類を待つ未来
ところが、だ。このSF的ストーリーには大きな落とし穴がある。
それは「全人口の1割が働くだけでよいのなら、残り9割の人はどうやってモノやサービスを買うのか」である。残り9割に仕事がなく、所得もないなら、前提となる全体の需要が生まれず、それは最終的には生産ゼロまで突き進むデフレ・スパイラルを生み出す。いくら人類の生産能力が飛躍的に高まっても、そのような経済体制は持続可能ではない。
こうしたSF的な究極社会では、ワークシェアリングや所得再分配政策など、何らかの形で残り9割の人に「購買力」を行き渡らせないと、経済そのものが回らないということがわかるだろう。だが、ここまで極端な未来でなくとも、2030年には私たちの仕事は大きく様変わりしていそうだ。テクノロジー進展の影響が押し寄せているのである。
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