2030年 あなたの仕事がなくなる 将来、あなたを襲う危機

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もう一つ苦手とする領域は、反復的作業ではない肉体労働である。人型ロボットはまだ完成に程遠く、高度な問題解決能力をも必要とする看護師や美容師、配管工などの肉体労働はコンピュータで自動化することが難しいという。

こうしてテクノロジーの進展により、高所得を得られる創造的な職場と低賃金の肉体労働に雇用は二極化される。そして、それ以外の中間層の仕事は急速にコンピュータに置き換えられ、それが現下の総雇用減少の一因になっているというのが、『機械との競争』の主張だ。

これが本当なら、現在はすでにSF的な究極社会に向けて進行する途上にあるともいえる。われわれはどうしたらよいのか。

個人のサバイバル術としては、とにかくコンピュータの置き換えが困難なスキルや専門技能を磨くことだ。たとえば、先述の創造的な仕事のほか、コーチング、リーダーシップ、チーム作りなどのスキルはコンピュータが苦手とするものだ。

また事業収益においてテクノロジー投資の貢献度が高まったため、労働者への分配(賃金)より経営者や株主の取り分が拡大する傾向が強まっている。今やITによる低コスト化で、個人や少数での起業であっても世界を相手にビジネスできる時代だ。こうした流れに乗って、自分が事業投資・経営の側に回るというのも一つの選択肢だろう。

そして個人の努力と同時に政府レベルの対応も大切になってくる。政府の所得再分配政策というと、あたかもすでに決まった経済全体のパイを分けるだけの話と考えられているが、先のSF的ストーリーの結末にあるようにテクノロジーや経済が高度化すればするほど、むしろ経済全体のパイの大きさを左右する役割として注目されることになりそうだ。

週刊東洋経済編集部
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