参議院選挙を終え、「憲法改正」を改めて考える
2013年7月21日、参議院選挙の投開票が行われた。通常であれば過半数をめぐる攻防が焦点だが、今回はもうひとつ、2/3ラインがどこに引かれるかが、大きな注目を集めた。むろん、憲法改正(の発議)が、戦後以来久々に、主要な争点となっているからである。
もっとも、与党である自民党・公明党と、昨年末の衆院選まで政権を担っていた民主党の議席数をあわせれば、以前からとうに3分の2を超えていたのだから、この三党が合意すれば、参院選を待たずしても改憲の発議には足りていたことになる。
その意味で今回の参院選は、単に日本が「憲法改正に向かうか否か」だけではなく、「どの党が」主導権を握る憲法改正の流れになるか、をも決定づけるものであったと言えよう。
高い内閣支持率の下で自民党は大勝したが、同党が昨年4月に発表した「日本国憲法改正草案」に関しては、さほど国民の支持が厚いわけではない。
特に、政府ではなく国民にも憲法尊重義務や、家族の相互扶助の義務を課し、「公益及び公の秩序」の名の下に人権が制約されるかのような規定を掲げた点には、改憲派からも多くの疑問が寄せられている。
国民の権利が侵害されないように、国家の権力に歯止めをかける、近代的な立憲主義の憲法ではなく、むしろ国家が国民に上から命令する「憲法」になってしまうのではないか、との懸念を抱かせるからだ。
それはあたかも、聖徳太子が臣下に統治の心構えを説いたとされる「十七条の憲法」への回帰のようにも見える。
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