隣り合い、国力の規模も近く、それでも遠い国
日本では安倍晋三首相、韓国では朴槿恵(パククネ)大統領による新政権が発足してから、数か月が経とうとしている。
当初より、前任者どうしのあいだで冷え込んだ日韓関係の改善が期待され、また北朝鮮をめぐる情勢が緊迫するなかで、提携して問題に臨めるのかどうかが、今こそ問われているといえよう。
しかしながら、両国に刺さった歴史の棘は重い。近日も、安倍首相や橋下徹大阪市長の発言が激しい反発を呼ぶなど、「現在」のニーズがあるからといって、安易に「過去」を水に流せないのが、東アジアの難しいところだ。
植民地支配に起因する問題は日本のみのものではないが、相手とここまで地理的に隣接し、昨今は国力の規模も近づいてきた例は稀だろう。その分、「相手に譲るのは癪だ」という感情も強くなる。
しばしば「近くて遠い国」とも呼ばれるように、多くの日本人にとって、朝鮮史の知識は乏しい(おそらくは、逆もまたしかりだろうが)。
この問題について「意識の高い」人々のあいだでも、注目されるのは目下の従軍慰安婦問題のような、植民地化以降の話題に限られがちだ。そのことがかえって、韓国との歴史問題といえば「解決不可能なもの」、いつまでもそれに熱くなる韓国人は「理解できない人々」といった印象を、強くしているようにも思う。
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