参議院は良くて無用、悪いと有害? 権力の集中と、その過度の抑制をどう考えるか

✎ 1〜 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 最新
拡大
縮小

なぜ、何のために第二院は存在するのか

著者:砂原庸介(政治学者、大阪市立大学准教授) 撮影:今井康一

「第二院は何の役に立つのか、もしそれが第一院に一致するならば、無用であり、もしそれに反対するならば、有害である」

これはフランス革命の指導者の一人であるシェイエスの言葉であるとされている。

最近、改革論が強く唱えられている日本の参議院を思い浮かべて、納得される方も多いかもしれない。

仮に、国民を代表する第一院の議決が常に正しいとすれば、この言葉は全く妥当と言うほかない。

しかし、第一院の決定に全てを委ねることには危険がある。第一院が、国民から遊離して暴走を始めたとき、その歯止めがなくなってしまうのだ。

近代化の局面のように、国家目標が明確で、先進国をいかに模倣するかが問題であれば、第二院の必要は薄いだろう。では、国家の目標が不明確で、社会における多様性が重視されている現代は、第二院が重要な時代ということになるのだろうか。

まず、どのような場合に第二院がその存在を要請されるか考えよう。

次ページ権力分立の実現という意義
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT