「架空転入」で選挙結果を変えてしまえるなら?
選挙に勝つための最も単純な手法は、確実に自分に投票する有権者を増やすことだ。
国政選挙や大都市の選挙では、1票増やしたところで大勢には影響ないが、小規模町村の議会では、数票差で当選が決まることも少なくない。
事実、日本でも、特定候補への投票を目的とした小規模な町村への「架空転入」が問題になることがある。
これは時折発覚して大きな問題となるだけではない。各市町村への転入数に注目した福元健太郎氏と堀内勇作氏の研究は、2003年4月の統一地方選挙を前にした同年1月に、議会選挙を予定される町村への転入が、不自然に大きく増えていたことを明らかにし、不正な「架空転入」の疑いを指摘する。
大選挙区制が採られ、数票の差で当落が変わりうる町村議会選挙では、このような不正が割に合ってしまうという問題が、背景にあると考えられる。
「架空転入」のようなあからさまな不正が横行すれば、有権者が代表を選ぶという選挙のプロセス自体が正しいと見なされなくなる。
不正な手段で認められた「代表」の決定に従う必要はないとする有権者は必ず出るし、選挙に参加しない有権者も増えるはずだ。有権者が選挙結果を受け入れるには、全ての候補者が等しい条件で有権者の支持を求めて競争する、という設定が必要なのだ。
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