参議院は良くて無用、悪いと有害?

権力の集中と、その過度の抑制をどう考えるか

日本の参議院選挙では、なぜ「農村」が強いのか

一方、日本の参議院は、イタリアとは異なって、衆議院と同日選挙が行われることは稀であり、これまでに1980年と1986年の二回があるのみだ。

野田内閣が2012年に衆議院を解散していなければ、2013年に同日選挙が行われる可能性はあった。次の2016年も同日選挙となる可能性は指摘されている。しかしいずれにしても、それは政治状況によって決まる流動的なものでしかない。

同日選挙が規定されていないことのほかにも、日本の両院は非常にねじれやすい構造となっている。「ねじれやすい構造」が意味するのは、衆議院の多数派が参議院の多数を取りにくいということだ。

ひとつの理由は参議院選挙が半数改選で行われることにある。仮に同日選挙となって、衆議院の第一党が参議院選挙でも勝利を収めたとしても、3年前の選挙で獲得した議席が少なければ、参議院の過半数に届かない結果となることはある。

参議院の過半数を押さえるには、一時的な支持では足りず、長期にわたっての継続した支持が要求されるのだ。参議院議員への半数改選の選挙制度適用は、長期にわたる支持の継続を政党に課すことで、議決の慎重さを求めるものだという考え方もあるが、実質的には、ねじれによって衆議院の多数派を強く縛る要件となっている。

もうひとつの理由はさらに深刻である。それは参議院の特殊な選挙制度によって、そもそも衆議院の多数派が参議院で過半数を獲得することが難しいということだ。

まず、選挙制度の問題だ。この連載の「選挙の不平等は『一票の格差』だけではない」で見たように、1990年代の選挙制度改革によって衆議院では定数不均衡が大きく是正された。それに対して、参議院では依然として深刻な定数不均衡が残り、農村的な地域が過剰代表されている。いわば選出基盤の不一致が広がったのだ。

次に、選挙区の問題がある。図に示したとおり、相対的に人口が多く都市的な性格の強い都道府県では議員定数が2以上であり、第二党以下の政党が当選しやすくなる。特に、都市で支持を得る中小政党が議席を獲得する余地がある。

他方で、相対的に人口が少なく農村的な性格の強い県では議員定数1となっている点が重要である。もちろん「農村的な性格の強い県」にも県庁所在市など都市的な地域はあるが、都市の支持を得た衆議院の多数派が同時に農村でも支持を伸ばすことは容易ではない。そして、参議院選挙で過半数を取るためには、この議員定数1の農村的な性格が強い県の多くで支持を集めることが必要なのだ。

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