ねじれを解消した後の、自民党政権の課題
このような制度は、政治学者の菅原琢氏が指摘するように、農村からの支持を受けてきた自民党にとって有利な制度となっている。(※参照:参議院選挙制度最大の問題―自民党に下駄を履かせる「小中混合制」)
事実、自民党は消費税が争点となった1989年と消えた年金が問題になった2007年以外、この1人区を生かして惨敗を免れた。
さらに2010年の参議院選挙は現在の選挙制度の歪みが表面化したものである。民主党は都市部を中心に全国で集計した得票数では自民党を上回ったものの、議席数で自民党に大きく敗れることになったのだ。
選挙制度に問題があるとはいえ、2010年参院選・2012年衆院選・2013年参院選の自民党の連勝によって、両院のねじれは当面解消されることになる。しかし、ここで指摘したような理由で、過半数を確保する自民党の中でも定数不均衡の小さい都市型の衆議院と農村を重視せざるを得ない参議院という「ねじれ」のモメントが存在することは変わらない。
今回の選挙で、衆参各員の多数派をそれぞれ異なる政党が占めるというねじれは解消された。このねじれを解消した自民党政権の次の課題は、両院を一致させる党内ガバナンスを確立することとなるだろう。
(担当者通信欄)
2012年冬の衆議院選挙、そして2013年7月の参議院選挙と続きましたが、そもそもなぜ私たちは、この両方の選挙に行くのか。なぜ日本では二院制が採られていて、その長所短所はどういったことなのか。そんな疑問を持つ機会はあまりなかったかもしれません。次の選挙のことも考えつつ、理解しておきたいテーマです。選挙の行われるタイミングとその結果の傾向を考えるには、地方自治体選挙にも言及するこちら→【政治の世界のタイミング「選挙サイクル」の問題】にもヒントがあります。
さて、砂原庸介先生の「政治は嫌いと言う前に」最新回は2013年7月22日(月)発売の「週刊東洋経済(特集は、U40大図鑑)」に掲載です!
【「選挙の顔」など求めるな、リーダーの選び方を見直す】
国政選挙を終えたら、次の選挙に向け改めて考えてみたいこと、政党を率いるリーダーの選出を取り上げます。それぞれの政党の党首がこれまでどのように決まってきているのか、そして、その決め方はどうあるのが望ましいかを考えます。
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