小泉進次郎は、挫折を乗り越えられるか 再び勢いを取り戻す、自民党派閥の研究(下)

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前回のコラムでは、再び活性化し始めた自民党の派閥についてご説明しました。今回のコラムでも、派閥の昔と今、そして「進次郎派」設立の行方などについて見ていきます。

いまなお続く「角福戦争」

田中角栄氏と福田赳夫氏(ともに故人)が総理の座を狙って激しく争った「角福戦争」は、遠い昔の話ではなく、現在も進行中であることを、皆さんはご存じでしょうか?因縁の戦いは、派閥間の争いとして、今なお続いているのです。

進次郎氏の父・純一郎氏は福田派の系列(撮影:高橋 孫一郎)

田中派と福田派は、領袖こそ変われど、田中派系列と福田派系列として今なお健在であり、それぞれ歴代総理を多く輩出しています。橋本龍太郎氏と小渕恵三氏(ともに故人)は田中派系列です。

一方、その後に続く森喜朗氏、小泉純一郎氏、安倍晋三氏、福田康夫氏は福田派系列です。その後の麻生太郎氏は小派閥出身ですが、国民的知名度と人気を有していることから自民党の起死回生の策として担がれたのであり、角福戦争としてはワンクッション置かれた形です。

その後は皆さんご案内のとおり、民主党による政権交代が起きました。しかし、ここで角福戦争に終止符が打たれたかと言うと、そうではありません。田中派系列から分岐した羽田・小沢派は自民党を離れて新生党を設立、その後、新進党・自由党を経て民主党に合流しており、政権交代時の民主党は田中派系列とも言える存在だったのです。

そして、昨年末の再度の政権交代により、福田派系列の安倍晋三氏が再び総理になりました。

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