小泉進次郎は、挫折を乗り越えられるか 再び勢いを取り戻す、自民党派閥の研究(下)

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こうして見ると、本物の政権交代がなかった日本においては、田中派系列と福田派系列という擬似二大政党による、擬似政権交代が繰り返されてきたことがわかります。この長く続く因縁の戦いに、終止符が打たれるときは来るのでしょうか?

進次郎氏と安倍首相との距離は、近くない

さて、ここで小泉進次郎氏の登場です。自民党青年局長として82人もの大所帯を率いる進次郎氏は、角福戦争の影響が今なお残る自民党に対して、いかなる変化を及ぼすのでしょうか?

進次郎氏は本来であれば、純一郎氏と同じく福田派系列のはずです。しかし、純一郎氏が安倍晋三氏を重用した間柄の割には、安倍晋三氏と進次郎氏の距離は決して近くありません。

先の総裁選でも進次郎氏は無派閥の石破茂氏に投票しています。これは、純一郎氏が政治生命を懸けて推し進めた郵政民営化に反対して自民党を離党した郵政造反議員の復党を、安倍晋三氏が第1次安倍内閣のときに認めており、また、現在も彼らを重用していることが、その原因のひとつだと言われています。一方で石破氏に近いのは、純一郎氏が同じく推し進めた脱派閥の理念と、無派閥で貫く石破氏の考えが一致することが大きな原因であると思われます。

進次郎氏の「福田派系列と歩調を合わせない姿勢」もあり、前回のコラムで紹介したように、進次郎派の設立が取りざたされているのです。最大派閥の町村派(福田派系列)に匹敵し、第2派閥の額賀派(田中派系列)を凌駕する82人もの数は、既存の派閥にとってはかなりの脅威となりえます。

しかし、青年局はあくまで青年局であり、一部の例外を除き青年局所属の議員は進次郎派の一員であるという意識はありませんし、既存の派閥に所属している議員が多いことを考えると、82人という集団をもって「進次郎派の旗揚げ」と見ることは、無理があるというのが正直なところです。

また、政界は「嫉妬の世界」であるということを忘れてはいけません。目立つ議員や力を持った議員に対しては、必ずと言っていいほど足を引っ張ろうとする議員が出てきます。他人が出世したら自分は出世できず、他人が出世できなければ自分にチャンスが回ってくる以上、「他人の不幸は蜜の味、他人の幸福は毒の味」というのが、政治の世界なのです。

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