参議院は良くて無用、悪いと有害? 権力の集中と、その過度の抑制をどう考えるか

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イタリアの選挙制度とその驚きの選挙結果

まず、2013年イタリア総選挙の結果を見ていこう。この表にあるとおり、イタリア下院選挙では、全国をいわばひとつの選挙区とした選挙が行われている。

最も得票が多かったのは中道左派連合で、その得票率は29.55%である。得票率が30%にも満たないのに、議席数は617のうち340を獲得している。これは本文中でも説明したように、第一党に55%の議席を与えるというルールがあるからだ。

次に得票が多かった中道右派連合の得票率は29.18%で、1位との差は1%もない。しかし、議席数は200近く(議席率では約35%)離れるという非常に極端な結果となっている。

第二院である上院の結果は大きく異なっている。表にあるように、各州を選挙区として同じようなルールで議席が配分されているから、例えば49の議席を与えられているロンバルディア州では、1位の中道右派連合が55%の27議席を確保しているし、28議席のラツィオ州では中道左派連合が1位で16議席を獲得している。

上院得票率の全国集計(ここでの全国は、例外的に小選挙区制がとられているトレンティーノ・アルト・アディジェ州とヴァッレ・ダオスタ州を除く)では31.63%と1位になった中道左派連合だが、州別の得票率を見ると1位は全18州のうち小規模な州を中心とする11州にとどまり(しかもそのうちひとつは定数が2しか配分されず第二位との差がつかないモリーゼ州)、上院全体でも中道右派連合に後れを取っている。

各州を選挙区とするイタリア上院では、全国で第一党でない政党も、州では第一党となって多くの議席を獲得することができる。そのため議席が分散し、下院で議席の過半数を握る政党(連合)が上院においては過半数に届かないということもありうる。

これをある程度防ぐために、イタリアでは基本的に上院と下院の選挙は同時に行われる。そこには、上院と下院それぞれに対する同様の投票行動を有権者に促し、両院の構成を一致させる狙いがあるのだ。

しかし、2013年のイタリア総選挙では人気コメディアンのグリッロの5つ星運動や、前首相のモンティが結成した新党に票が分散したために、得票率では1位となった中道左派連合の議席数が極端に低くなって、上院の過半数には全く届かなくなってしまった。そのために、上院と下院の深刻な「ねじれ」 に悩むことになったのである。

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