娘に教えた歴史の教訓
しかし、日本の歴史教科書は、客観的な事実の記録ばかりに力点を置いている。どこからも文句が来ないように、編纂者がはじめから配慮しているように思える。
オリバー・ストーン監督の来日に合わせて、NHK-BS1では、『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』(全10話)が放映された。このシリーズの中で彼は、「日本への原爆投下は軍事的にはまったく不要だった」と述べている。おそらく、ストーン監督もこうした教科書で育ったのだろう。
歴史とは、私たち一人一人のストーリーと国家のストーリーの集積である。これはいくつもの「必然と偶然」、そしてそのときの「選択」の結果だ。だから、常に「なぜ、いま私たちの世界はこんなふうになっているのか?」が問われなければならない。しかし、残念ながら、現在問題になっている反日的な中国の歴史教科書では、ストーリーは一つであり、その解釈も一つだ。
ハワイで夏を過ごしていたある年、娘がサマースクールから帰ってきた後、夕食までの1時間を割いて、私は娘に戦争の歴史を教えた。当時、中学生だった娘は「なんで」と嫌がった。しかし、私がつくった資料コピーを見て観念し、私の話を聞いた。
このとき、私が教えた歴史の教訓は、たった一つである。
私が20世紀の世界の歴史、そして日本の歴史から、次の世代に教えられるとしたら、それはたった一つしかない。利害対立・紛争を「武力で解決する」という方法を捨てること。これに尽きる。なぜなら、人類は不幸なことに原爆という最終兵器を持ってしまったからだ。
ただ、これでよかったのかどうか? 最近の日本の風潮を見ていると、確信が持てない。みなさんは、いかがだろうか?
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