アメリカは原爆投下をどう教えているのか?

アメリカの歴史教科書を読んで考えたこと

この連載で前にも書いたが、アメリカの教科書は、生徒に「考えさせることで学んでいく」というかたちを取っている。だから、続けて、「一次資料を使って」というコーナーが設けられており、そこには、「日本に第2の原子爆弾を投下した飛行隊に同行した記者が書いた報告を読んでみましょう」とある。

これは1945年9月9日付け『ニューヨーク・タイムズ』紙のウイリアム・L・ローレンス記者の記事だ。記事はここでは省かせてもらうが、記事の後に、さらに次のような質問があるのに、私は目を見張った。

 《いろいろな見方があることを知ろう。
(a)この文章から、記者のどういう気持ちを感じますか?
(b)原子爆弾の爆発を、記者は何か恐ろしい怪物にたとえているのでしょうか?
 あなたの見方を述べなさい》

 

この質問に、日本人ならどう答えるだろうか? 原爆投下は明らかに戦争から逸脱した行為、人類に対する犯罪と考えられる。原爆投下以前に行なわれた、都市を焼尽す「無差別爆撃」もまた同じだろう。

ローレンス記者もその恐ろしさを「何かの生き物、新種の存在物が、われわれの目の前で誕生した。われわれは、自分の見ているものが信じられなかった」と書いている。

「Why」が前提

こうした教科書の記述から、私は、アメリカにはいまも原爆投下に対しては異論があること、アメリカ人が罪の意識を持っていることを知った。これは、その後、娘に日本の歴史を教えるときのための貴重な体験となった。

なお、ぜひ書いておきたいのは、ネット検索をしたら、「国際派時事コラム:商社マンに技あり」というブログで泉幸男さんという方が、この教科書について詳しく取り上げていた。原爆投下の記述についてさらに知りたい方は、その記事を読まれることをお勧めしたい。私も、この記事を参照させてもらった。

このようなことからわかるように、アメリカの歴史教科書は、単なる史実の記述だけではなく、それをどう捉えたらいいのか、少なくとも生徒に「考えさせよう」と編集されている。つまり、「なぜそれが起きたのか?」「そのときの選択は正しかったのか?」という「Why」が前提になっている。

したがって、その答えはいくつもある。要するに、キミはどう思うか?ということを常に問うている。だから、生徒がどんなに乱暴な意見を言おうと、それを「間違っている」と教師は言わない。この点、生徒一人一人を尊重していると言えるだろう。

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