一流の経営者は「経営理論」を振りかざない 「参考にしても信用はしない」が正しい常識

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知識は有用なものだけれど…(写真:wavebreakmedia / PIXTA)

経営を進めるうえで、理論、学説、数値分析の知識ばかりを求める人がいます。もちろん、こうした知識は有用なものですが、絶対に必要かといえば、そうではありません。

総資本回転率、売上利益率、資本利益率、売上高費用比率といった財務諸表分析、あるいはランチェスターの法則など経営戦略に関する理論は、数多くあります。でも、このようなことがわからないと経営ができない、あるいは、このようなことをいちいち考え、前提としなければ、経営判断ができないとするならば、経営者として失格でしょう。なぜなのか。それを説明したいと思います。

学者は死んだ魚をさばいているにすぎない

経営学者や評論家は、いかにも経営がわかっているかのように、こうしたデータを列挙して、話をする。書物にする。それを聞いて、読んで、さすが先生は偉いと思う。すごい先生だと思う。しかし、思う必要はありません。すごいこともありません。彼らは、実業を経験していません。生きている魚を扱った経験はなく、死んだ魚をさばいているにすぎないのです。

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もともと、彼らは、そのような死んだ(過去)の資料とデータを分析理論化しているのであって、彼らのご託宣が、「いま、生きている会社」にそのまま適用できるはずもありません。現に、彼ら、学者や評論家が予測することで、その予測が「当たる」ことはほとんどありません。早い話が、毎年の彼らの景気予測の結果を考えれば、すぐに納得されるでしょう。

若い方はご存じないかもしれませんが、坂本藤良(1926-1986)という経営学者がいました。

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