松下幸之助「知恵は汗のなかから生まれる」

経営の神様が問わず語りに語ったこと

生きた知恵は、社会の波に揉まれていないと出てこない(写真:東洋経済写真部)
江口克彦氏の『経営秘伝――ある経営者から聞いた言葉』。松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助の語り口そのままに軽妙な大阪弁で経営の奥義について語った著書で、1992年の刊行後、20万部を売り上げるヒットになった。本連載は、この『経営秘伝』に加筆をしたもの。「経営の神様」が問わず語りに語るキーワードは、多くのビジネスパーソンにとって参考になるに違いない。

まず汗を出せ、汗のなかから知恵を出せ

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努力ということで、もう少し話を続けるけどな、人間はまずとにかく努力をする、こつこつ努力を積み重ねていくことが基本であり、大事なことやね。汗を流す。それを先行させることや。

以前、どこかの会社の社長が、「知恵ある者は知恵を出せ、知恵無き者は汗を出せ、それも出来ない者は去れ」というようなことを、社員の人たちに言っておったそうやな、そういうことを言っておっては、あかんと。潰れると、わしはそういうように感じておった。案の定、それから数年したら、やはり倒産してしまった。

どうして、わしがそういうように感じたかというと、ほんとうは、「まず汗を出せ、汗のなかから知恵を出せ、それが出来ない者は去れ」と、そう言わんといかんのや。まず汗を出せと。知恵があっても、まず汗を出しなさいと。「ほんとうの知恵はその汗のなかから生まれてくるものですよ」ということやね。汗を流し、涙を流し、努力に努力を重ねるうちに、ほんまものの知恵というものが湧いてくる。身についてくるんや。

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