松下幸之助「成功するかどうかは90%が運」 経営の神様が問わず語りに語ったこと

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われわれは自然の理法の研究と人間の本質の研究をもっとやらんといかんね(写真:東洋経済写真部)
江口克彦氏の『経営秘伝――ある経営者から聞いた言葉』。松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助の語り口そのままに軽妙な大阪弁で経営の奥義について語った著書で、1992年の刊行後、20万部を売り上げるヒットになった。本連載は、この『経営秘伝』に加筆をしたもの。「経営の神様」が問わず語りに語るキーワードは、多くのビジネスパーソンにとって参考になるに違いない。

人間が飢えで困窮しているときに

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きみ、あそこ、見てみい。芝生のところ。鳥が飛んできたよ。なんの鳥やろ。時折、こうしていろいろな鳥が飛んでくるけど、ここは近くに東山があるし、このあたり一帯、木をたくさん植えた庭が多いから、とくに鳥も集まってくるんやろうな。かわいいもんやな。

昔な、日本が戦争に負けた直後、前にも言うたけど、食べるものはなんもない。みんな飢えの姿やな。相当悲惨な状態であった。配給で食糧は配られたけど、その配給そのものが、とても生きていくに十分な量ではないんや。その配給を受けておるだけでやっておったら、生きて行くことが出来ん。飢え死にしかない。実際にある判事さんが、私は法律を断固守ります、断じて不法なヤミ取り引きはやりません、と言うて、それで栄養失調で亡くなってしまったほどや。

それで、国民ほとんどみんなが内緒で、やってはいかんとされていたヤミ取り引き(禁じられた物資の取引)をした。自分の家にある物を農家に持って行って食糧と換えてもらう。それでやっとの思いで、わずかばかりの食糧を手にいれて飢えをしのいでいたんや。

ところが、人間がそういう状態で、食べるものもない、生きていくにも苦しいときに、スズメはどうかというと、栄養失調はしておらんわけや。

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