人間が飢えで困窮しているときに
きみ、あそこ、見てみい。芝生のところ。鳥が飛んできたよ。なんの鳥やろ。時折、こうしていろいろな鳥が飛んでくるけど、ここは近くに東山があるし、このあたり一帯、木をたくさん植えた庭が多いから、とくに鳥も集まってくるんやろうな。かわいいもんやな。
昔な、日本が戦争に負けた直後、前にも言うたけど、食べるものはなんもない。みんな飢えの姿やな。相当悲惨な状態であった。配給で食糧は配られたけど、その配給そのものが、とても生きていくに十分な量ではないんや。その配給を受けておるだけでやっておったら、生きて行くことが出来ん。飢え死にしかない。実際にある判事さんが、私は法律を断固守ります、断じて不法なヤミ取り引きはやりません、と言うて、それで栄養失調で亡くなってしまったほどや。
それで、国民ほとんどみんなが内緒で、やってはいかんとされていたヤミ取り引き(禁じられた物資の取引)をした。自分の家にある物を農家に持って行って食糧と換えてもらう。それでやっとの思いで、わずかばかりの食糧を手にいれて飢えをしのいでいたんや。
ところが、人間がそういう状態で、食べるものもない、生きていくにも苦しいときに、スズメはどうかというと、栄養失調はしておらんわけや。
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