パリの男女が長期休暇に「何もしない」理由

ガッツリ休むのに生産性は日本以上…

フランス人の「休み方」は、日本人とまったく違います(写真:jaspe / PIXTA)
「地中海のナチュリスト(ヌーディスト)リゾート(Cap d'Agde)オススメだぜ。ビーチサイドで読むペーパーバック、サングラス、日焼けオイル、そして一杯のモヒートがあれば完璧。皆が裸でビーチに現れる。それ自体が革命だ。自由と平等が一気に到達されるんだよ!」
ランヴェール/社会学者

 

パリに降り立ったら、そこはヴァカンスでした。

ヴァカンスといえば文学が馴染みます。わたくしだったら、若いときに読んだフランソワーズ・サガンの『悲しみよこんにちは』。微熱の気だるさとアンニュイな生理の重さが交差したような読後感がよみがえります。

ヴァカンスのもともとの意味は「空っぽ」。英語ならvacantですね。むかし有閑階級という言葉がありましたが、金持ちがすることもなくボーッとしていることの形容だったそうです。

フランス人にとっては「仕事=足かせ」!?

ヘンリー・ジェイムスの『デイジーミラー』では、ヴァカンスのころのパリかローマの情景を“dead season”と表現していたと記憶します。星のついたレストランも地元のブティックもお休みで街は閑散、歩道には風に転がる空き缶の音が空虚に響くばかり……の風情です。

年に5週間の有給休暇に週35時間労働。フランス人は1カ月のヴァカンスのために11カ月を働くといわれます。日本で「とらばーゆ」と言えば「女性が転職すること」の代名詞ですが、トラバーユ(travail)は仕事を意味するフランス語なのです。その語源は「足かせ」――ローマ人がガリア征服の際に捕虜につけた内側にトゲがある拷問具を兼ねた足環――なのです。なんとまぁ!

次ページかといって、日本と「対極」なわけではない
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