「休めない」日本人をこれ以上増やさない発想 もはや企業に「ポーズ」は求められていない
「会社が公認で休憩を推奨するという取り組みが、普及しないものか」
筆者は昨秋、東洋経済オンラインの「『休めない』日本人の生産性が低い理由」(2015年10月31日配信)、「『休めない』日本人がどうにか休むためのコツ」(同11月7日配信)という2本の記事で、「休む=悪」という空気が蔓延している日本人の働き方についての問題点を指摘し、多方面から反響を得た。その中で寄せられた中で多かった意見の一つが、「企業自身にもっと休むことを推奨してほしい」ということだ。
日本は2014年の年休取得割合が47.6%(常用雇用30人以上、厚生労働省調べ)と、100%近い国もある欧州や70%台の米国と比べて、依然として国際的に低水準だ。休むことによって仕事にメリットが得られる科学的根拠があるにもかかわらず、有休取得がままならないケースが大半で、企業によってはそれすら人事・総務の目標達成のための帳尻合わせになっている。
「休む=悪」という空気
「昔は多くの会社に喫煙スペースが設けられ、半ば会社公認の息抜きができた」
喫煙者を中心に寄せられたのは、このような声だ。タバコを吸わない人には相いれない意見かもしれないし、喫煙に伴う健康的な問題があることはさておいて、会社が休憩を公認する取り組みがあれば、堂々と休んでもいいと考えるビジネスパーソンは少なくないだろう。つまり、「休む=悪」という空気を和らげることができるかもしれない。それも今の時代に合うように、喫煙を口実に休憩するなどという姑息な手段ではなく、より理性的・合理的に休むシステムを採り入れるのは可能だ。
筆者が現在、生活の拠点を置いている米国では、成人喫煙率は政府が統計を開始した1965年の42.4%から、2013年には17.8%まで低下した。米国では、喫煙=健康意識が低いと見なされ、喫煙者は就職できない、あるいはタバコを吸うと解雇されるといった事例も出てきている。そもそも、スタンフォード大学の構内やシリコンバレーの企業を見学しても、日本の喫煙所なるものはほとんどお目にかかれない。
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