一流の人ほど実はしっかり休暇を取っている 「リフレッシュ」が仕事にもたらす効果
富裕層向け不動産会社インゲルズ&ボルカーズのアンソニー・ヒット最高経営責任者(CEO)は、3カ月のうち少なくとも1週間はハワイのマウイ島にある家で過ごす。
ヒットはCEOに就任して3年。ハワイ滞在中に会社の重役たちと話をするのは1日につきたった15分程度だという。残りの時間は読書やヨガ、サイクリングなどに充て、とにかく仕事から離れるようにしている。
「地味な休暇を過ごしている」とヒットは言う。「『こうしたらどうだろう』とか『あの件はどう解決したらいいだろう』といったことは努めて考えないようにしている」
実は休暇を減っている人は減少
皮膚科の開業医でマウント・サイナイ医療センター(ニューヨーク)の准教授も務めるジュディス・ヘルマンは、仕事から距離を置くために複数の手段を使っている。
クラシックピアノを習っていたことこあり、ヘルマンの趣味は自宅でジャズピアノを弾くこと。それに水泳(もちろん日陰でだ)。詩も書くが、自分に才能があるとはまったく思っていない。
それに年に少なくとも4週間は休暇を取ることにしている。来月はイスラエルでスキューバダイビングを楽しむ予定だ。患者たちには本当の緊急事態でない限り、休暇中に連絡はしてこないよう話してある。
「ありがたいことに、生命に関わるような皮膚の問題というのはめったにないから(帰国を)待っていてもらえる」とヘルマンは言う。「患者たちときちんと向かい合うには休暇の時間が必要だ」
8月と言えば昔からバカンスの季節だが、ヘルマンやヒットのように仕事のことを忘れるためにしっかり休みを取る人の数は減っている。アメリカでは労働者の平均休暇日数が過去40年間でもっとも少なくなっている。あるインターネットでのアンケートでも、有給休暇を消化しきれないという人が半数以上に上った。
旅行業界の支援の下で休暇取得を推進する団体「プロジェクト・タイム・オフ」がこの夏に出した調査報告書によれば、アメリカの労働者の休暇取得日数は、過去40年間でもっとも少ない、年16日だった(ちなみに15年前の平均取得日数は20日間だった)。