「過労死防止法」で日本の長時間労働は減るか 有休取得率アップなどを推進、効果はある?
厚生労働省は、過労死や過労自殺を防止する対策を国の責務とした「過労死防止法」(過労死等防止対策推進法)の基本方針となる大綱の案を発表し、6月11日からパブリックコメントを受け付けている。
この案には、2020年までに週60時間以上働く人の割合を5%以下にすることや、有給休暇取得率を70%以上にすることなどの数値目標が盛り込まれている。
大綱の案は、過労死遺族や労働組合、経営者、学識者などで構成される過労死等防止対策推進協議会が昨年12月から検討を進めてきた。今後、パブリックコメントの結果を踏まええ閣議決定される予定だ。過労死をめぐっては、人権問題などを扱っている国連の社会権規約委員会が、日本政府に対策を講じるよう勧告するなど、その対策が世界的にも注目されている。
国の数値目標は現実的?
今回の大綱は、過労死を防止するうえで、どんな意味があるのだろうか。長年、過労死問題に取り組むとともに、過労死防止法の制定に尽力し、過労死等防止対策推進協議会の委員も務める岩城穣弁護士に聞いた。
「大綱は、過労死防止法に基づき、過労死防止対策を総合的に推進するために、政府が作成する政策文書です。今後数年間、国はこれに基づいて防止対策を推進し、毎年その結果を『過労死白書』のような形で国会に報告することになります」
岩城弁護士はこのように述べる。政府の打ち出した数値目標は、現実的なのだろうか?
「政府が具体的な数値とその期限を掲げる以上、国はその達成のために具体的な取り組みを行うとともに、毎年その進捗状況を確認していくことになります。『絵に描いた餅』にならないよう、国民もしっかり監視していく必要があります」
過労死をめぐる現状は変わるのか。