「過労死防止法」で日本の長時間労働は減るか 有休取得率アップなどを推進、効果はある?

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「過労死の現状が変わる可能性は十分にあると思います」

なぜ、そう思うのだろう。

「①まず、国がこのような過労死に関する詳細な政策文書を作成し、普及させること自体が画期的であり、影響は大きい。

②また、現行法令や通達の遵守・徹底なども『啓発』の一環として進めていくことになっていますので、監督指導が強化されることになります。

③さらに、過労死防止対策は、省庁の壁を超え、官民が協力・連携しあって、いわば国民的な運動として進めていくことになっています。

そうした運動の中で、労使を含めた国民全体の意識も変わっていくと期待されています」

具体的な労働条件は直接規制できない

岩城弁護士はこのように期待を込めたうえで、次のように語っていた。

「過労死防止法は理念法です。1日の労働時間の上限など、具体的な労働条件を直接規制するものではありません。この大綱も、そうした意味で限界があります。

それでも、今回の大綱には、大きな効果が期待されていると言えるでしょう。何よりも、労働者・国民自身がこの法律や大綱を学び、自らの職場・意識を変えていくことが重要です」

厚労省は、電子政府サイトで、過労死防止法の大綱について、7月10日までパブリックコメントを募集している。意見がある人は、コメントを書き込んでみてもいいかもしれない。

岩城 穣(いわき・ゆたか)弁護士
1988年弁護士登録、大阪弁護士会所属。過労死問題をはじめ、労働・市民事件など幅広く活躍する「護民派弁護士」。
事務所名:いわき総合法律事務所
 
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