「モノ扱い」の派遣労働法、改正案は無意味? より「クビにしやすい労働者」になる可能性も
安倍内閣は3月13日、労働者派遣法の改正案を閣議決定した。派遣法の改正をめぐっては、この法律を担当している厚労省の課長が、業界団体の会合で「派遣労働者はモノ扱いだった」と発言していたことがわかり、波紋を広げていた。
派遣法改正案は、昨年2度国会に提出されたが、条文の誤記や衆院解散などでいずれも廃案となった。政府は3度目の提出で成立を目指している。改正案では、派遣労働者の受け入れ期間の制限などが見直されている。
派遣労働者の立場がもっと不安定になる?
「モノ扱い」の発言があった際、厚労省課長は、この法改正案について「ようやく人間扱いするような法律になってきた」と述べていたという。その言葉通り、今回の改正案で、派遣労働者を取り巻く環境は改善されるのだろうか。労働問題に取り組む波多野進弁護士に聞いた。
「厚労省幹部の発言は、非常に不適切でした。いくら派遣労働者の立場が弱いからといっても、モノ扱いは決して許されません。また、今度の改正案で、派遣労働者の立場が強化されるかというと、それも期待できません」
波多野弁護士はこのように説明する。改善されないのは、なぜだろうか。