ゼロ法案、類似制度に上がる米国民の悲鳴 年収280万円でも「残業代ゼロ」の可能性?
国会で審議されている「高度プロフェッショナル労働制」(別名・残業代ゼロ法案)について、日本弁護士連合会(日弁連)は3月4日、類似制度をすでに導入しているアメリカで「聞き取り調査」をおこなった結果を報告するセミナーを開いた。
調査メンバーの中村和雄弁護士は「制度を導入すれば、労働時間が長くなることを確信した」と指摘した。
ニューヨークなど4カ所で聞き取り調査
政府が新しい労働のルールとして導入を目指している「高度プロフェッショナル労働制」は、対象となった労働者について、時間外労働や割増し残業代などの「労働時間規制」から除外する制度。「残業代ゼロ」の対象となるのは、一定の収入要件を満たす、高度な能力を持つ専門労働者に限るとされている。
アメリカでは以前から「ホワイトカラー・エグゼンプション」と呼ばれる、類似の制度が導入されている。日弁連の視察は、今年1月27日から2月1日にかけて実施された。ニューヨーク、ワシントン、ロサンゼルス、サンフランシスコの4カ所で、労働組合や弁護士、米労働省などに聞き取り調査をおこなったという。
「高度プロフェッショナル労働制」に賛成する論者の中には、新制度の導入によって対象者の長時間労働が減るはずだという意見がある。しかし、ニューヨークとワシントンで調査をした三浦直子弁護士は「アメリカでは、ホワイトカラー・エグゼンプション制度の対象者のほうが、非対象者よりも労働時間が長くなっていた」として、こうした主張に疑問を呈する。