ハロワの"ブラック企業"締め出しは有効か

求人票に書かれていない真実

心身に異常を来しかねないほどの長時間労働やサービス残業、過重なノルマの押し付けなどを行う企業はいまだ横行している(写真:node / Imasia)

厚生労働省が、違法な長時間労働や残業代不払いなどの違法行為を繰り返す、いわゆる"ブラック企業"の求人を全国のハローワークで受理しない制度を創設する方針を固めたという。1月26日召集の通常国会に提出する若者向け雇用対策法案の柱とするようだ。

現在の法律では原則としてハローワークは「求人の申し込みはすべて受理しなければならない」と規定しているが、そこから一歩踏み込む。厚労省としてはブラックリスト方式で一部の企業を指定し、それを排除することでハローワーク求人の信頼を高めることができると考えているのだろう。

状況は甘くない

こうした制度ができることは状況改善の一歩になるだろうし、何もしないよりはマシとは言える。だが、本質的な意味で問題解決になるかといえば、そんなに状況は甘くない。

そもそもハローワーク求人票のデタラメさは、多くの労働問題に明るい人達から指摘され続けてきた。たとえば、求職者が「正社員を募集している」という求人票で紹介された企業に行ってみると「まずは試用期間がある」と、結局は契約社員の形態でしか採用してくれないというケースは珍しくない。

それ以外にも、求人票に書かれているはずの「通勤手当が支給されない」「週休2日制は嘘だった」「雇用保険や社会保険にも加入していない」などなど。最初から求人票が求職者を釣るための餌であるかのように、ハローワークには、いい加減な求人票があふれている。

ブラック企業という非常にあいまいな言葉は、2013年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の流行語トップテンに選出されるなど、近年、社会で認知されるようになったもの。健全な雇用市場を衰退させ、経済的な不利益を社会にもたらす存在である。ただ、ブラック企業という言葉の多くは「あの有名企業はブラック企業だ」と、ネット上で囁かれている程度に過ぎない。さも、ごく一部の特定企業だけに問題があって、他の企業には問題がないと考えているかのようだ。

次ページだが、現実には…
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