固定残業代含む月給50万円、こんな求人アリ? 労働者の盲点?こんな表記には注意しよう
インターネットの求人サイトをのぞいてみると、給与の欄に「月給50万円(固定残業代を含む)」といった表示をしている募集を見かけることがある。ここで使われている「固定残業代」というのは、どのような意味なのだろうか。
本来、残業代(時間外手当)は、働いた時間にしたがって、通常の賃金から割増された額が支払われるはずだ。しかし「固定残業代」を採用している企業では、どんなに残業をしても、残業代が一定の金額に抑えられてしまうということだろうか。
認められていないが、違法ともいえない……?
そうだとすると、企業にとっては都合がいいが、労働者は割が合わないような気がする。このような条件で労働者を働かせることは、違法なのではないか。労働問題に取り組む日本労働弁護団常任幹事の棗一郎(なつめ・いちろう)弁護士に話を聞いた。
――そもそも「固定残業代」とは、どういうものなのでしょうか。
労働者が1日8時間を超えて働くと、その時間分は残業代として、使用者が割増賃金を支払う必要があります(労働基準法37条)。
しかし、時間外労働が日常的になっている職場もありますよね。そのとき、割増賃金を計算する手間を避けて、使用者側の労務管理を簡単にするためのものとして、「固定残業代」という方法が存在します。
一定の割増賃金を、あらかじめ基本給に組み込んで支給する方法や、基本給とは別に「手当」という形で支給する方法があります。どちらも「固定残業代」という形をとっているという点では同じです。