固定残業代含む月給50万円、こんな求人アリ? 労働者の盲点?こんな表記には注意しよう

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――「固定残業代」制度を口実に残業代が支払われない場合、働く人としては、どのような対応をすればいいでしょうか。

賃金規定も含めた就業規則の内容や給与明細を見て、自分の給与がどのように支払われているのかを確認し、証拠をそろえたうえで、労働基準監督署に行くのがいいでしょう。

行政は積極的に介入しないので注意!

ただし、注意してほしいことがあります。企業と労働者の民事的な紛争に、行政は積極的に介入しないことになっています。ですから、単なる事実上の「相談」をするだけでは、行政はまともに相手をしてくれません。必ず、法律に基づいた「労働基準法違反の申告」(労働基準法104条)をしてください。

労働基準監督署と交渉するノウハウなどは、労働弁護団が持っています。戦後一貫して、労働者側、組合側で活動してきた弁護士グループです。毎週、労働相談のホットラインをやっていますから、自分でいきなり行動するのが難しいと感じた場合は、気軽に相談してほしいと思います。

――ただ、労働基準法を厳格に適用して残業代を完全に支払うことは現実的ではない、という意見も多いようです。

勘違いしている人たちが大勢いますが、日本だけ特別に、使用者に対する厳しいルールがあるというわけではありません。

労働時間を、原則1日8時間・週40時間にするという制度は、戦前から定められている国際的な条約によって決められたもので、完全に世界の標準となっています。日本で週40時間制が適用されるようになったのは1997年ですから、日本の労働時間規定が世界のルールに追いついてから、まだそれほど時間がたっているわけではないのです。

人生の時間は1日24時間と有限です。そして、それは労働をする人とその家族のためにあるものです。給料をもらえるからといって、雇用されたが最後、使用者に支配されても仕方ないというものではありません。このことを、決して忘れないでほしいと思います。 

(取材・構成/関田真也)

棗 一郎(なつめ・いちろう)弁護士
第二東京弁護士会所属。1996年弁護士登録。旬報法律事務所所属(弁護士25名)。日弁連労働法制委員会事務局長。日本労働弁護団常任幹事。
事務所名:旬報法律事務所

 

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