固定残業代含む月給50万円、こんな求人アリ? 労働者の盲点?こんな表記には注意しよう

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――この制度は、法律で認められているのでしょうか?

積極的にこの制度を認める法律の規定はありませんが、判例では認められているものもあります。以下が、判例が示す条件です。

1. 基本給のうち、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分が明確に区別されて合意されていること
2. 労働基準法で決められた計算方法による割増賃金の額が、「固定残業代」の額を上回るときは、その差額を支払うことが合意されていること
3. 実際に時間外の労働をした場合は、差額賃金が支払われていること
(小里機材事件・最高裁判決昭63.7.14、東京高裁判決昭62.11.30)

 

あらかじめ決められた時間について、残業代を固定すること自体は「違法」とはいえません。しかし、その決めた時間を上回る仕事を労働者が行っている場合は、その時間分についての残業代を、法律にしたがって支払う必要があるということです。

ルールが守られていない現実

――しかし、会社としては、残業代を一定額以上払わないようにするために「固定」にしている場合が多いのではないでしょうか。

そうですね。正直なところ、この判例が示したルールは守られていないというのが現実です。そもそも、使用者と労働者の間で、条件1の内容について、合意がない場合がほとんでしょう。判例が示した基準を守ろうとすれば、結局、企業は労働者の働いた時間を正確に管理する必要がありますし、そもそも正しい運用に従うなら、「固定残業代」制度を用いるメリットはあまり大きくないのです。

しかし、このルールに従わず、働いた時間にかかわらず残業代を少なめに固定するのは、明確に法律違反です。労働者が働いた時間分の賃金を、使用者が支払わないことは「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」に問われる立派な犯罪行為でもあります。

――実際には、働く人の側も「固定残業代」という制度を理解していないことで、「適正な残業代が支払われなくても仕方がない」と考えている人が多いように思います。

「固定残業代」という名称は、あたかも「何時間働いても残業代を一定にする」ものであるという誤解を与えがちで、そういう気持ちになってしまう人が多いという現実はわかります。残念ながら、この制度は、企業の「残業代逃れ」の手口として、今、最も使われていると言っても過言ではないでしょう。

しかし、先ほども述べた通り、これはあくまで「あらかじめ決めた時間について、残業代を定額で支払うことを決めておく」というものです。実際に働いた時間分の残業代を請求することは可能ですから、言葉のイメージに惑わされないでほしいと思います。

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