一流の人ほど実はしっかり休暇を取っている 「リフレッシュ」が仕事にもたらす効果
プロジェクト・タイム・オフはこうした新しい労働者像を「労働殉教者」と名付けた。労働殉教者の家族は、家庭生活が仕事の犠牲になる可能性を理解してはいるが、3分の1以上が不満を持っているという。
働き過ぎを批判するのは簡単だ。だが多くの「仕事ができる人」に限らず、休んだらクビになるのではとの不安をかかえている人々にとってもこれは現実だ。
では、忙しい合間にリフレッシュしたいと思う人はいったい何をしているのだろう。自分のために時間を割く(もしくは割かない)ことのコストをーー費用はもちろん、心理的・肉体的な負担を——彼らはどう見ているのだろうか。
ジャネット・ブロニーが、ストレスまみれのファッション関連企業の重役の職を捨て、健康コンサルタント会社「パス・フォー・ライフ」を始めたのは10年前のこと。ブロニーが人々にわからせようとしていること、それは四六時中仕事から離れられない生活は健康に悪いうえ、想像する以上に生産性を下げる要因になっているということだ。
ブロニーは企業幹部向けに、リフレッシュの仕方を身につけるための9ステップからなる方法を考案した。
リフレッシュとは、仕事と片時も離れられない原因となっている機器と距離を置く時間のことだと考える向きも多いが、ブロニーに言わせれば、たいていの人は病気の診断を受けて初めて、アドバイスを受けにやって来る。そこでブロニーはまず栄養と運動の指導に力を入れるが、マインドフルネス(瞑想の一種)の大切さも強調する。もっとも競争心が強くてせっかちなタイプが相手だとなかなか伝わらないという。
「マインドフルネスなど、思いもよらないという人は多い。クッションの上に、ただ30分座っていることだというイメージがあるからだ」とブロニーは言う。「だがマインドフルネスは日常的に実践できる。ストレスの原因となるような、あらゆる思考を止める効果は高い」
長時間労働は、時に深刻な影響を健康にもたらす。このほど発表された論文によれば、週に55時間以上働くと、脳卒中を起こすリスクは33%、心臓病にかかるリスクは13%も高くなるという。
それでも丸1週間休みを取るのは容易なことではない。
瞑想が難局に立ち向かう武器に
冒頭のヒットは、CEO就任直後は休暇中でも、ドイツやニューヨークのオフィスに連絡するため朝4時には起き、マウイ島では誰も起きてこないような時間からインターネットにアクセスしていた。
だが今は、優秀な部下たちがいるからゆったりと休暇を楽しんでいると彼は言う。
「そうなるまでは時間がかかった。私は仕切るのが好きな人間だから」とヒットは言う。
普段からリフレッシュする方法を見つけるほうが、長い休暇を取るより容易とは言わないまでも現実的かも知れない。瞑想やヨガが人気なのは言うまでもないが、それらにほかのアクティビティを組み合わせている人もいる。