パリの夫婦に「子ども優先」なんて呪縛はない 両親を見て、子は大人の世界に胸を膨らます
前回記事まででは「センシュアリティ」の語源などをお話ししてまいりましたが、そろそろ辞書を閉じて、あなたのご家族に視線を移してみましょう。ここでは、子どものいる夫婦のセンシュアルな生活について考えてみます。
フランス人の夫婦は、子どもができたからといって、互いを「パパ」とか「ママン」とか呼び合うことなんてゼッタイにありません。もし妻が「パパ」なんて呼んだら、夫は「ノン、ぼくはケダモノではない」とか「ぼくの子ならもっとエスプリが効いている」とか言って、妻の唇を封じるに決まっています。もちろんリップで、子どもの見ている眼の前で。
両親を見て、子は「アムール」のなんたるかを知る
彼らの考える「愛ある家庭」は、「恋愛生活を継続する父と母」が大前提にあります。子どもたちは、そんな両親の姿を目の当たりにし、アムール(イタリア語なら、流行りのアモーレ!)のなんたるかを脳に刻み込みつつ、大人になっていくのです。
ロマン派の音楽を聴けばおわかりのように、ロマンとは咲き乱れる花や吹き荒れる風雨。めくるめく波乱万丈があってこそドラマチックで絵になるのです。恋とは冒険であり、出会いは非日常への跳躍です。
一方、その2人が結ばれた後の結婚生活はどうでしょう? 毎日が波瀾万丈、事件や事故の連続というのではたまりません。日常とは平和であり、なにごともない穏やかな生活の継続ではないでしょうか。
すると、「恋愛を継続する父と母」というのは、ある種の「ミッションインポッシブル」となってしまいます。日常と非日常の“日常的衝突”。子どもができたとなると、それこそしっちゃかめっちゃかではないですか。
だからこそ夫も妻も、スーパーマンやスーパーウーマンにならなければなりません。
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