米国の「有給取り放題」は、機能しているのか

実施しているのはたった3%だった

米代理店業界では有給取り放題制度が流行しているが、問題もあるようだ(写真:Kzenon / PIXTA)

アメリカのエージェンシー(広告代理店)業界では、有給休暇を取り放題とする制度が流行している。

IT業界が発端となるこの制度は、従業員のライフスタイルを尊重しながらも、任せた仕事はきっちりとこなしてもらうことを前提とした、ワーキングカルチャーの変化による産物だ。また、こうした大盤振る舞いのルールは、シリコンバレーで働く人たちへの気前の良い「特典」にもなっている。年々、同地では才能ある人材を確保することが難しくなっているためだ。

しかし、この「有給取り放題」制度にも悪い側面はある。

「有給取り放題」制度の問題点

この記事はデジタルマーケティング戦略に特化したメディア「DIGIDAY[日本版]」(運営:インフォバーン)の提供記事です

同制度を実施しているエージェンシーに勤める中堅マネージャーは、彼より勤務期間の短い社員が、彼と同じくらいの有給を取得していることに対し、怒りで煮えくり返りそうだと話す。「欲張りだとか、器の小さい人間だと思われるので、絶対に口には出せないが、有給は仕事を担ったことへの報酬であり、そうであるべきだ」と某中堅マネージャーは指摘する。

一方で、役員たちが悩んでいる問題もある。エージェンシーは人事で動いているということだ。グローバルエージェンシーであるハバス(Havas)の人材管理担当であるパティー・クリフォード氏は、「私たちの業界は顧客を中心として動いているため、無制限の有給休暇制度を導入することはとても難しい」と話している。

「通常では、顧客と契約を結ぶときに、専任スタッフや労働時間の詳細が決められる」と、クリフォード氏は付け加えた。エージェンシーが「有給取り放題」制度を実施していようとも、顧客にとってはそれは受け入れられないため、実際には機能しない制度になってしまうのだ。

次ページ実施しているエージェンシーは3%
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 令和の新教養
  • 子どもを本当に幸せにする「親の力」
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
好業績の裏で検査不正<br>スズキ「鈴木修経営」の光と影

5月10日の決算会見に登壇し完成検査の不正を詫びたスズキの鈴木修会長。不正は組織的・構造的な問題か、現場への目配り不足によるのか。長年にわたるカリスマ経営の副作用を指摘せざるをえない同社のガバナンス体制を詳解する。