日本企業で問題化する「なんちゃってMBA」

毎年5000人が誕生!そのムダと弊害

増加した「なんちゃってMBA」に、遠藤功氏が警鐘を鳴らします(写真:psisa / PIXTA)
経営コンサルタント気取りの「フレームワーク」を使いまくり、表面的なデータ分析が大好きで、「横文字」の経営コンセプトを連発するビジネスパーソンたち……。あなたの会社の隣にも、そんな人がいませんか?
なぜ、日本企業でそうした人材が大量発生しているのでしょう? その背景に「なんちゃってMBA」の急増があることを、戦略系コンサルファーム、ローランド・ベルガー日本法人会長で、2016年3月まで日本を代表するビジネススクールでも教鞭を執った遠藤功氏(新著に『結論を言おう、日本人にMBAはいらない』があります)は指摘します。
かつてビジネスで成功する最強ツールと言われたMBAの実態はいま、どうなっているのか? 法科大学院をはじめ専門職大学院の苦境は広く知られるようになりましたが、ビジネススクールは大丈夫なのか? 誰もが口を閉ざしてきたその現状を知れば、逆に仕事にとっていちばん大切なことが、浮かび上がってくるはずです。

ビジネススクールで強調される「薄っぺらいテクニック」

2004年、米国でビジネススクール関係者を震撼させる衝撃の書籍が出版された。原題は『MANAGERS NOT MBAs』。その2年後に『MBAが会社を滅ぼす』(日経BP社)と題されて日本でも出版され、関係者のあいだで大きな話題になった。

著者のヘンリー・ミンツバーグは、カナダ・マギル大学の教授であり、経営学者。米国経営学会から優秀研究者に選ばれるほどの実績を上げている。ミンツバーグの主張は明快だ。MBAプログラムはこの50年以上にわたってほとんど変わっておらず、重大な欠陥を抱えており、総合的なマネジメント教育とは言えない。「間違った人間を間違った方法で訓練し、間違った結果を生んでいる」と辛辣に批判したのだ。

MBAという学位を初めて設けたのは、ハーバード大学。1908年だから、100年以上前のことだ。以来、米国でビジネススクールは増加の一途をたどり、現在では、600~800ものビジネススクールが存在すると言われる。ビジネススクールの増加とともに、MBA取得者の数も増加。1964年に6400人だったMBA取得者は、1976年には4万3000人に達した。

ミンツバーグは「アメリカだけでも、10年で100万人近くのMBA取得者が経済界に送り出されている」と言う。そしてMBAは「あらゆる場で悪影響を生んでいる」と指摘し、「破滅的な影響」という言葉まで使っているのだ。

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