「何に時間を使うか」こそ、最重要の問いだ 本質に基づいたマネジメント論の可能性
先日、私はドラッカー学会に2つの論文を投稿しました。「構造構成主義による経営学の科学論的基盤の構築」と「ドラッカーマネジメントに関する信念対立の解明:世界の経営学の「最先端」が抱える本質的問題とは何か?」という題で、投稿した2本とも高く評価をいただき、学会誌の巻頭に掲載していただけることになりました。
そのこと自体、光栄なことだったのですが、それ以上に大きな収穫となったのは、この2本の論文を執筆する中で、今後の活動の指針となる言葉に出会えたことです。
「本質」と「マネジメント」の組み合わせ
それが「エッセンシャル・マネジメント・サイエンス」(Essential Management Science:本質行動学)という言葉です。世の中にはたくさんの大学や学部がありますが、「本質学部」や「本質学科」というものは見かけません。それもそのはずで、「本質を求める学(Essential Science)」は、まだどこにも、きちんと体系化されたものが存在しないからです。
一方、マネジメント(Manegement)というのは、狭義では「管理」と訳されますが、経営学では評価、分析、選択、改善、統合、計画、調整、指揮、統制、組織化といった様々なテーマを統合した概念です。これは言い換えれば「人間や組織にまつわるすべてをうまくまわすこと」と言ってもいい、「本質」に負けないぐらい、広範かつ原理的な言葉です。
ところが現実には、マネジメント論も他の学問分野と同じく、細分化により本質が失われつつあります。ドラッカー学会に出した論文も、経営学が細分化の道を辿り、本質が見失われていく傾向にあることに警鐘を鳴らし、学問の本質に向かう道筋を整備するものであったため、高い評価をいただけたのだと考えています。
もし、「本質×マネジメント」を掛け合わせた学問分野を作ることができたら何が起きるでしょう? これほど原理性と汎用性の高い言葉が組み合わされば、あらゆる領域やテーマにおいて理論と実践をつなぐ領野が拓けるのではないでしょうか。これこそが、自分がライフワークとすべきテーマではないか。私はそう考えるに至りました。
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