「経済成長は不可欠」という神話が国を滅ぼす

チェコの奇才が教える成長より大事なもの

私たちは、もうすべて手に入れてしまったのか?(写真提供:NHK)
経済は必ず成長しなければならないのか、資本主義はどこへ向かっているのか、そもそもおカネとは何なのか――。
気鋭の若手経済学者・安田洋祐大阪大学准教授が世界のトップランナーとの対話を通じて、資本主義の本質に迫ったNHK「欲望の世界経済史 序章」が25日深夜に放送される。本記事では、番組の未放送インタビューも多数収録した書籍『欲望の資本主義』から、一部を抜粋してお届けする。

成長資本主義は誤りだ

『欲望の資本主義』の関連番組「欲望の世界経済史 序章」はNHKのEテレで3月25日(土)深夜25:00~25:25に放映予定(書影をクリックするとアマゾンのページにジャンプします)

安田:経済成長と金利について伺います。現在、日本やEUをはじめとする多くの国では、マイナス金利となっています。

それに関して、コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は興味深いことを言っておられます。現在のとても低い金利は、中央銀行や財務省の間違った政策の結果であり、正しい経済政策をとれば、金利はたとえば5%などの正常な水準に戻るはずだということです。

スティグリッツ教授のこの見解に対してどう思われますか。

セドラチェク:ゼロ金利やマイナス金利などの低金利政策に効果がないことは明らかです。工業生産も増えていない。日本が良い例です。バブル崩壊後長い間、景気が停滞していますね。国債を大量発行して、未来から多額のおカネをつぎ込む財政政策と、借り入れによる資金調達を安くみせる金融政策の両方から景気のテコ入れを図ってきたにもかかわらず、です。

低金利政策も大量の国債の発行も、経済成長のための政策ですが、私は、誰もが疑おうともしない「成長は良いことだ」「経済は成長し続けなければならない」という思い込みこそが、問題だと思うんです。

私はこう聞きたいのです。私たちが生きている社会は「資本主義」なのか、それとも「成長資本主義」なのか? 私は「成長資本主義」だと理解しています。「成長」が人々の唯一の関心事だからです。

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