生命保険の「やめ時」を知っておくべきだ

すでに入っている人が考えるべきこと

契約が長期になるほど、保障内容の「不確実性」が増すからです。たとえば、公的介護保険の要介護認定に連動して給付金が支払われる(民間の)保険の場合、仮に認定要件が厳格化すると「契約時のもくろみどおりにはおカネが受け取れない保険」になる可能性も考えられます。契約内容が更新されない点にリスクがひそんでいるわけです。

また、解約後に大病などにかかる可能性にしても、当然、年齢とともに高まります。解約直後に入院するようなことになり「やめなければ良かった」と後悔する機会も増えるに違いありません。だからこそ、気をつけたいと思うのです。

もとより、保険は後悔しないためにあるのでしょうか。筆者は「リスクに備える手段の1つ、それ以上でもそれ以下でもない」と認識しています。手段なので向き不向きがあり、残念ながら老後の保障などには向かないのです。

「損失を確定したくない」心理

先に書いたように、原則、加入者が受け取る給付金の額は保険料を下回ります。加入者が加齢とともに病気にかかりやすくなる傾向など、あらかじめ、保険料には織り込み済みなのです。給付金を受け取る機会が増えるからといって、確率的にはマイナスに収束すると思われる支出を続けていいのだろうか、と慎重になったほうがいいはずです。

それから、貯蓄商品において、解約時の払い戻し率が、既払い保険料に対し100%になるまで契約を続けるべきではないか、という考え方にも願望を感じます。「損失を確定したくない」心理が影響していると思うのです。

たとえば、ある「外貨建て終身保険」の契約例では、加入後1年では19%の払い戻し率が、5年では77%、10年で90%、17年で101%となっています。加入から間もない人など、解約をためらうのは当然だと思います。

とはいえ、加入後5年の場合でも、あと10年以上、おカネは増えないのです。契約年度に代理店に支払われる手数料などが高く「大きなマイナス」から積み立てが始まるからです。17年後の101%にしても、それまでつねに損が出るリスクと比べれば低すぎると感じます。

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