企業と学生、就活のミスマッチはどこなのか コミュ力やチーム力をカン違いする学生たち

✎ 1〜 ✎ 272 ✎ 273 ✎ 274 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

企業がこれらの能力を重視するのにはわけがある。ビジネスで必要な能力であることは間違いないのだが、最近の若者に欠けていると感じられる能力であるからこそ、重視する側面も大きいのだ。次に、企業が学生に求める能力で高いのは、「前に踏み出す力」「適応力」「考え抜く力」「目標達成志向(最後までやり抜く力)」。いずれも3割以上の企業が選択している。学生側の結果を見てもこれらの4項目は、順位の差こそあれ3~4割程度の学生が挙げており、企業側のニーズとは一致する。しかし、学生がアピールできると思っているレベルと、企業が求めているレベルには大きな隔たりがある可能性がある。

SNSの影響で失敗恐怖症が多い若手社員​​​​

上のロゴをクリックするとHRプロのサイトへジャンプします

人事担当者に近年の新入社員の特徴を聞くと、筆頭に「まじめである」と肯定的なイメージが出るが、その後に続くのは「受身的だ(指示待ちである)」、「失敗を恐れる」、「応用力が不足」、「マニュアル志向」、「すぐ答えを求める」といったマイナスイメージが挙がる。「堅実である」という言葉もよく聞く。こちらも一般的には肯定的な意味で使用されることが多いが、新入社員を語る際には「失敗を恐れる」と同義語で使われることが多い。

新入社員や若手社員が極端に失敗を恐れる背景には、子どものころからSNSに親しんできた影響が大きいという人がいる。それまで何の問題もなく仲のよかった仲間内でも、何かちょっとしたミスをすると、匿名SNSで攻撃されたり、あるいはグループメールのメンバーから外されたりといった仕打ちを受けることがあるという。そのトラウマが大人となった今もずっと残ったままになっているというのだ。あなたにも思い当たるフシはないだろうか。

グローバル化が進み、国内だけでなく海外での各種変化にも大きく影響を受けるなど、企業を取り巻く環境の変化が激しい現代、今までのやり方や考え方に固執していては、企業として生き残るのが難しくなっている。だからといって、成功したどこかの企業が実践したやり方を踏襲すれば、どの企業でもうまくいくというものではない。

ビジネスは、学生時代の学問のように正解が決まっているわけでなく、ましてや成功に向けたマニュアルがあるわけでもない。日々、試行錯誤の連続である。失敗を恐れず前例のないことに挑戦する「前に踏み出す力」、難題があっても自分で「考え抜く力」、そして「最後までやり抜く力(目標達成志向)」が求められている。

これらの力をアピールできれば、エントリーシートや面接選考では大いに優位に立てることは、間違いない。ただし、採用担当者に確信を持ってもらえるだけの、具体的なエピソードがあればだが……。

松岡 仁 ProFuture HR総研 主席研究員

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

まつおか ひとし / Hitoshi Matsuoka

就職情報会社3社を経て、2009 採用プロドットコム(現ProFuture)に入社。新卒採用に限らず、キャリア採用、人材育成、人事制度、人事システム、労務、法改正対応等、人事領域に関連する幅広い各種調査の企画、実施・分析を行う。朝日新聞、日経新聞をはじめ、新聞、人事系雑誌、テレビからの取材依頼も数多い。

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事