医者の着る服は「白衣が最善」とは限らない 今後は現場によって多様化していく可能性も

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日本でも、筑波大学の栗原 宏医師の研究があります。結果はやはり、白衣が最も好ましいというものでしたが、特に年配者では、若年者に比べてスクラブが適当ではないと考える人が多いことがわかりました。

医療者の白衣を権威的と感じるかどうか、信頼の対象と感じるかは、現場の両者の関係性から生み出されるものであり、時代とともに変わるだろうし、国や地域でも異なることでしょう。

生活習慣病の外来では、親しみやすい服装が好まれる?

実際、わが国においても、集中治療室や救急外来など、プロであることがわかることが優先される職場では、白衣やスクラブが好まれ、より親しみが求められる家庭医や心理的な問題を話す職場では、ビジネススタイルやカジュアルスタイルが好まれることが予想されます。

高血圧や糖尿病、脂質異常、肥満など生活習慣病が主体の外来では、感染源と接する機会は少なくなりますから、感染を防ぐための白衣を着る必要性は減少するでしょう。さらに、心理的ストレスなどが生み出す病気が多くなっている状況下でも、外来で白衣を着る必要性はより少なくなっていくかもしれません。

米国の研究で、白衣が医師の信頼の象徴となっているのも、それまでの歴史的な経過の産物です。一方で、服装だけで相手に先入観をもつのも間違いを生む結果となるかもしれません。

どの服装でなくてはならないと固定的に考えるよりは、それぞれの現場で、どのような服装が向いているのかを患者と医療者が理解し、その服装での文化が創られることにより、今後医療者の服装は多様化していくのではないでしょうか。その中で、信頼関係が醸成されていくことが望まれます。

加藤 眞三 慶應義塾大学看護医療学部教授

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かとう しんぞう / Shinzo Kato

1956年生まれ。1980年に慶應義塾大学医学部卒業。1985年に同大学大学院医学研究科博士課程単位取得退学(医学博士)。米国マウントサイナイ医学部研究員、 東京都立広尾病院の内科医長、内視鏡科科長、慶應義塾大学医学部・内科学専任講師(消化器内科)などを経て、 2005年より現職。著書に『患者の生き方』『患者の力』(ともに春秋社)などがある。毎月、公開講座「患者学」を開催している。
 

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