霊長類が危ない!何と6割が絶滅の危機に 自然破壊や狩猟、採鉱が原因

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しかし、ほとんどの種は適応力がそれほど高くない。ゴリラやチンパンジー、ボノボ、オランウータン、テナガザル19種を含むすべての類人猿は危機にさらされている。キツネザルの87%も同様だ。その他にも絶滅の危機に瀕しているのが、エクアドルのブラウンクモザル、ナイジェリアのニジェール川デルタ地帯に生息するレッドコロブス、それから写真家のカメラでセルフィを撮ったことで有名になったインドネシアのクロザルなどだ。

「10年前にわれわれが思っていたよりも状況は悪い」とマッキノンは言う。

ゴリラの親子(写真:Sterling Zumbrunn/Conservation International via The New York Times)

マッキノンらは、狩猟など、霊長類を絶滅へと追い込んでいる人間の活動を多数指摘している。たとえば西アフリカでは、霊長類の肉の需要が国内で高い。

「森林はまだ残っているが、人間が手当たり次第、狩猟している」とライランズは言う。

霊長類の狩猟を促しているのは国内の需要だけではなく、多くは食用肉として中国に輸出されている。中国ではまた、霊長類の体の一部も癒やしの力を持つと信じられている。

携帯電話もリスク要因

農地開拓のための大規模な森林破壊も霊長類の脅威となっている。アマゾンではジャングルが牛の牧場や大豆畑へ、マダガスカルではキツネザルが生息する森が水田へと姿を変えている。

欧米諸国も無関係ではない。ドーナツから口紅、バイオディーゼル燃料まであらゆるものに使われているパーム油の畑は、世界有数の多様な霊長類の生息地である東南アジアの森を壊してつくられている。

携帯電話さえも霊長類にとってのリスクを増大させている。中央アフリカの熱帯雨林では、携帯電話の材料となるコルタンという鉱石の採掘が行われている。そして採掘業者は自分たちの食料として霊長類を狩猟する。「彼らは霊長類に依存して生きている」とライランズは言う。

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