霊長類が危ない!何と6割が絶滅の危機に 自然破壊や狩猟、採鉱が原因
人間はこれまでにも霊長類を絶滅させているが、具体的な数は明らかではない。マダガスカルにはかつて、キツネザル科で体重約160キログラムにもなるメガラダピスが生息していた。化石記録によると2000年ほど前に人類がマダガスカルに渡って以来、17種のキツネザル科が絶滅している。
最近では、西アフリカの「ミス・ウォルドロンのレッドコロバス」と呼ばれるサルは、25年ほどその姿が確認されておらず、絶滅したとみられている。中国でもシロテテナガザルが絶滅した可能性がある。
絶滅の危機に瀕している霊長類の中には、生存している個体数がわずか数十のものもある。その多くは人口の急増が予測される場所に生息しているため、先行きは明るくない。
生態系にも必須の存在
このたび発表された研究論文は、霊長類が直面している危機を抑止すべき理由を指摘している。
霊長類は生態系にとって非常に重要であることもその1つだ。たとえば、葉や果実を食べる際に、動物たちは花粉も媒介している。また動物のフンに含まれる植物の種が、植物の生息範囲の拡大に寄与している。
「霊長類はかつて生態系にとって必須ではない、余分な存在だと考えられていた」と、マッキノンは言う。「しかし、今ではそれが欠かせない存在であることがわかっている」。
霊長類の動物たちは、私たち人間を理解するうえでも重要だ。
最初の霊長類は約8000万年前に誕生し、数百年をかけてさまざまな系統に分かれた。ヒトとその他の霊長類を生物学的に比較することで、ヒトの脳や視覚の進化や病気に対する脆弱性などが明らかになっている。