一方で、「団塊ジュニア」世代向けとなると、バブル世代とはまったく違うアプローチが必要になる。いうまでもなく、1971年から1974年に生まれた人たちが、狭義の団塊ジュニア世代。戦後間もなく生まれたベビーブーム世代(=団塊世代)の子供に当たる彼らは、人口ボリュームも多い世代だ。それだけに、つねに子供の頃からなにかと競争にさらされてきたという特徴があるとともに、「就職する直前にバブルがはじけて、就職氷河期がはじまった」ことも、大きな特徴になっている。
「社会に出るタイミングで、それまでとガラリと世の中が変わったのがこの世代。それだけに、近接するバブル世代とは、ガラリと違ったメンタリティをもっています」(原田さん)
現実的な思考をもつ団塊ジュニア世代
そのため、バブル世代のような〝万能感″は団塊ジュニア世代にはない。激しい競争を戦ってきたのに、非正規社員になったり、賃金格差がひろがったりという厳しい現実を目の当たりにしてきたからだ。「団塊ジュニアはとても現実的。そして自分より上の世代の価値観に疑問を抱いている世代といえるでしょう」(原田さん)。
それだけに気をつけたいのが、「団塊ジュニア世代をバブル世代と間違ってしまうこと」だ。「あんないい目にあってない!」「チャラチャラと遊ぶ余裕なんてなかったわ!」と数年違うだけで、失われた世代になってしまった自らの憂き目を多少なりとも感じているからだ。だから、バブル世代に対しては「あこがれ」をもって語ったほうが吉と書いたが、団塊ジュニアに対しては「共感」を強く抱いて話すのがいいだろう。
「課長が就職されたときって、いわゆる氷河期のはしりですよね。どれくらい大変でした?」「いまなかなか明るい未来が見えにくい時代じゃないですか? 先輩たちの時代からそうだったと思いますが、どうやって乗り越えました?」。こんな感じで「自分たちと同じ不安を共有している先輩」といったスタンスで話を伺えば、「そうなんだよ。そうなんだよ」とゆるやかな連帯感が育まれるに違いない。
団塊ジュニア世代の特徴には、もうひとつマンガやアニメ、ゲームといったサブカルチャー面では、とても充実した環境にいた、ということもある。確かに、社会人になってからは厳しい低成長時代を味わってきたが、子供の頃は、華やかな高度経済成長時代やバブル期を過ごしている。人口ボリュームの多さも手伝い、団塊ジュニア世代をターゲットにした、マンガやアニメやゲーム市場が大いに開拓されていた。
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