「グローバル人材」を目指すあなたへ 何を目指して海を渡る?

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

では、どうすれば夢を見つけられるのか。

「夢」とは渇望だ。たとえば、あなたが砂漠で迷い、灼熱の中、3日間1滴も水を飲めなかった状態を想像してほしい。あなたは心の底からコップ1杯の水を欲しがるだろう。それが夢だ。夢とは生理的に渇望するものだ。断たれたときに死ぬほどの苦痛を覚えるものだ。その点において、「夢」と「選択肢」は根本的に異なる。だから、無数の光の中からどれを目指すべきか迷ったとき、こう考えればよい。断たれたときに最もつらいものはどれか、と。僕にとってはそれが宇宙だった。 あなたにとって、それは何であろうか?

本連載では13回にわたってさんざん偉そうなことを書いてきた。だが、僕もあなたと同じく、まだ夢を目指す途上にある。僕は宇宙開発の歴史に名を残す大きな仕事がしたい。それが夢だ。

道のりは遠い。始まったばかりのJPLでの仕事はまだ不慣れで、必死にもがいている状態だ。宇宙開発の仕事といっても、日々の仕事は華やかでも夢にあふれているわけでもなく、しんどいことの連続である。

だが、どんなに仕事に忙殺されていても、夢を忘れず、夢を信じて、一歩一歩、その実現のために頑張っていきたい。あなたもぜひ、夢を見つけ、夢を信じて、一歩一歩、日々の勉強や研究や仕事を頑張ってほしい。

そして何十年後か、僕とあなたが夢をかなえたら、世界のどこかの飲み屋で、お互いの人生を振り返りながら、酒を飲み交わす日がきっと来るだろう。

(了)

※ 本連載筆者による書籍の刊行を予定しています

僕が代表を務める米国大学院学生会が開催している留学説明会も、万人に留学を「布教」することが目的ではない。夢を持ち頑張っている留学生たちの体験談を聞いてもらうことで、海外に出るにせよそうでないにせよ、目標を高く持ち努力するモチベーションにしてほしいというのが、僕たちの願いである。今夏も7月、8月に北海道大学、東北大学、東京大学、東京工業大学を回る。留学を考えていない方も気軽に聞きに来てほしい。

http://gakuiryugaku.net/(ポスターデザイン:長野光希)
 

小野 雅裕 NASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)技術者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おの まさひろ

1982年大阪府生まれ。2005年東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2012年マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科博士課程および同技術政策プログラム修士課程修了。2012年より慶應義塾大学理工学部助教。2013年より現職。火星ローバー・パーサヴィアランスの自動運転ソフトウェアの開発や地上管制に携わるほか、将来の宇宙探査機の自律化に向けたさまざまな研究を行なっている。阪神ファン。好物はたくあん。主な著書は、『宇宙を目指して海を渡る』(東洋経済新報社)。

ブログ: onomasahiro.net/
Twitter: @masahiro_ono

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事