男がスポーツセダンに今、「あえて乗る」意味 クルマもファッションもスタイルが大事だ

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芹名:まわりには少ないですね。モーターショーに行ったと言うと、「何それ?」みたいな(笑)。

森口:先日、スタイリストの大御所と話をしていて、彼はバブル華やかなりし頃にマセラティに乗っていたそうなんです。マセラティのおかげでモテまくったらしいですが、今はそういうことって考えられませんよね?

芹名:ええ、父の世代は、若い男のコがクルマに興味がないのが信じられないみたいですが……。

森口:これっていつ頃からの傾向でしょう?

小川:1990年代にミニバンが登場してからでしょう。でも、ミニバンって実は女性が好んだから売れたという側面があるんです。乗り降りが楽だし、室内は広くて快適だし、DVDも観られる。ミニバンは、ある意味で理想のデートカーだった。

サトー:便利で楽ちんなミニバンがあるいま、あえてスポーツセダンに乗る意味を考えるというのがこの座談会の趣旨になりそうですね。

セダンをスーツにたとえると

森口:ファッション担当からすると、クルマもファッションもスタイルがあることが大事だと思うんです。そう考えた時に、クルマのなかで一番スタイルがあるのがセダン。メンズ服にたとえれば、ネイビーのスーツに白シャツにネイビーのタイといった普遍的なスタイルですね。

小川:でも、メンズ服には華やかさを目指す方向もありますよね。

森口:たとえばトム・フォードは「チーフは花を咲かせるように挿しなさい」と言ったりします。男も華やかになれという意味ですね。一方で、フィレンツェの名店『タイ・ユア・タイ』の創始者であるフランコ・ミヌッチさんのように、男のファッションは振り返られたら負け。いかに普通で普遍が大事か!という考え方もあります。セダンというのは後者ですね。

サトー:セダンという存在を、スーツにたとえるのはわかりやすいですね。

森口:やはり華は女性にあって、男は控え目にあるべきという考え方です。

芹名:私はもともとセダンが好きで、形がすごくスマートだし、セダンを選ぶ人は本当にクルマや運転が好きだというのが伝わってきます。だから、セダンに乗る男の人も格好よく見える。

サトー:ミニバンは実用性を重視しますが、効率を突き詰めるとどうしても似通った形や性能になります。対してスポーツセダンは、ここにずらっと並んだモデルを見るとわかるように、どれも個性的。だから、クルマならなんでもいいや、という人ではなく、こだわって選ぶのがスポーツセダンなんですね。

芹名:そう思います。そういうこだわりのある男性にはやっぱり惹かれますね。

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