日産GT-Rが全面改良をまったく急がない理由 登場9年の大胆チェンジで何がどう変わったか
「GT-R」初のビッグマイナーチェンジ
衝撃的な登場から9年、日産自動車のスーパースポーツカー「GT-R」に初めてのビッグマイナーチェンジが実施された。2007年に登場した通称「R35 GT-R」はこれまでも「最新のGT-Rは最良のGT-R」と毎年のように進化・熟成を重ねてきたが、今回の大幅な変更はフルモデルチェンジに匹敵するといってもいい。
その2017モデルが世界初公開されたニューヨークショー2016の会場で、筆者に「そろそろ買う気になりませんか?」と笑いながら話しかけてきたのは、2013年よりGT-RのCPS(チーフ・プロダクト・スペシャリスト)として商品企画をとりまとめている田村宏志氏だ。
R35 GT-Rと言うと「ミスターGT-R」と呼ばれた水野和敏氏が有名だが、2001年東京モーターショーに出展された「GT-Rコンセプト」は田村氏の提案。この時すでに左ハンドル(=グローバルモデル)、2ペダル(=運転に集中できる)だった。
さらにさかのぼると、1999~2002年に「BNR34」の型式名で売られていた「スカイラインGT-R」時代に「大人も楽しめる上質なGT-R」というコンセプトで追加設定された「Mスペック」をプロデュースしたのが田村氏である。
「Mスペックはマチュア(円熟した)の意味で、いなしの効いたサスペンション(リップルコントロール付ショックアブソーバー)と本革シートなどを採用した“大人のGT-R”というコンセプトを掲げました。ビジネス的にも成功し、走りに特化したVスペックと同等の販売台数を記録しました」。
実はこの話が2017モデルの開発コンセプトにかかわる重要なキーワードである。
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