日産GT-Rが全面改良をまったく急がない理由 登場9年の大胆チェンジで何がどう変わったか

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まずエンジンだが、ブーストアップや気筒別点火時期制御の採用などで550馬力/632Nmから570馬力/637Nmに出力アップ。しかし、数値が目的ではなく、トルクカーブを全体的に引き上げ、より乗りやすくした“結果”にすぎない。確かに実際に乗ると、出力アップよりも日常域の滑らかなトルク感やレスポンスの良さが光った。トランスミッション(6速DCT)は静粛性や制御の緻密化によるスムーズな変速で、従来のガチャチャやシフトショック音は影を潜め、まるでATのようなスムーズなシフトアップ/ダウンである。

パワートレインの出力向上で熱量はアップ。同時に冷却性能を上げる必要があった。

「ラジエターを大きくすると重量が増えるので開口部を大きくしています。でも、cd値は悪化させたくないので、上横下の空気の流れを良くするためにすべてをやり直し。その結果が今回のエクステリアデザインなのです」。

フロントバンパー、ボンネット、サイドシル、リアバンパー、リアコーナーのフィン形状(実は2001年のGT-Rコンセプトがモチーフ)だけでなく、R35 GT-Rの特徴のひとつであったCピラーのキャラクターラインが空気をわずかに剥離させる原因になっていたため、ラインをなくした形状に変更(=プレス型の作り換え)と言った徹底ぶりだ。

インテリアデザインは全面刷新

基本的なレイアウトは踏襲するもののデザインは全面刷新された

一方、インテリアは基本的なレイアウトは踏襲するもののデザインは全面刷新である。

「2014/2015モデルで乗り味を変更させた時も『いくら“大人の”と言っても、見た目が一緒では……』とさんざん言われましたが、当時は言いたいけど何も言えず……。インテリアに関しては2016モデルの進化をスキップしてでも投入したかったアイテムです」

インパネは水平基調を踏襲しながらもなだらかなデザインに変更。8インチに変更されたモニターやスイッチ類も操作性を意識しているが、これも“機能”のひとつで「超高速域での操作性アップ」が目的である。インパネ先端も従来よりも約40mm下げたことで視界性能もよくなっている。細かい部分を見るとパドルシフトはコラム固定式からステアリング一体型へ変更。これは好みが分かれるだろう。

ボディはもともと量産車としてはたぐいまれなる車体剛性を持っていたが、「タイヤをいかに接地させるか」という原点に立ち返った結果が、キャビンのフロントウィンドウ周りの重点的な剛性アップだった。これにより前後バランスを整えられ、スラローム車速はアップ、修正舵頻度が下がったそうだ。このボディに合わせて、ショックアブソーバー/バネ/スタビライザーは再セットアップが行なわれたが、タイヤは2015モデルから変更はない。

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