「86」と「CR-Z」は、なぜ明暗が分かれたのか トヨタとホンダ、「復刻」スポーツの通信簿
今の40歳前後以上が青春真っ盛りだった1980~90年代前半ごろといえば、スポーツカー全盛期だった。中でも「ライトウェイトスポーツカー」と呼ばれ、200万~300万円前後の新車価格を付けた小型かつ軽量なモデルは「頑張れば手が届く」クルマとして、若者を中心に新・中古車市場を問わず人気を誇ったものだ。
現代に復刻した2台のライトウェイトスポーツカー
その後、スポーツカー不遇の時代を経て、現代に復刻した2台のライトウェイトスポーツカーがある。トヨタ自動車がスバル(富士重工業)と共同開発した「86」(スバル名「BRZ」)とホンダ「CR-Z」だ。86はトヨタが1983~1987年に販売していた「カローラ/スプリンター」のスポーツモデル「レビン/トレノ」の車両型式番号「AE86」を車名の由来として2012年に登場。CR-Zはバブル前後に人気を博したコンパクトスポーツ「CR-X」を彷彿とさせる、世界初の量産ハイブリッドスポーツ車として2010年に発売された。
そんな2車種がこの夏、それぞれ重大な局面を迎えた。ホンダは6月中旬、CR-Zを2016年内に生産終了すると表明。一方、トヨタとスバルは7月上旬に86/BRZをビッグマイナーチェンジと銘打ち、車体の基本設計を維持しつつも大胆に部分改良。エンジン出力やボディ剛性、操縦安定性、乗り心地の向上のほか、内外装の見直しなどを実施した。
通常、マイナーチェンジは新車効果が薄れたことによる商品力アップや市場から出たネガを潰すことが主となることが多いのだが、86/BRZに関しては、「FRスポーツの理想形に向けて再セットアップした」といった感じである。現在、自動車専門メディアを中心にインプレッションなどが展開され始めているが、「乗って数百メートルで違いはわかる」「全体のキャパと懐の深さが上がっている」「従来モデルと同じタイヤを履いているとは思えない」「質感が全然違う」と高い評価ばかりだ。
86/BRZは後輪駆動のガソリンエンジン車、CR-Zは前輪駆動でモーターとエンジンを併用するハイブリッド車という違いはあるものの、「等身大のスポーツモデル」と言う意味では共通する部分がある。もともとデビューに2年のタイムラグはあるとはいえ、当面は息長く売られていきそうな86/BRZに対して、ひっそりと消えていくCR-Z。なぜ明暗が分かれてしまったのか。
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