ポルシェが「4気筒エンジンに回帰」した事情 これは世界的に避けられない流れだ
ポルシェの名前を聞いてピンと来ない人は少数派だろう。イタリアのフェラーリと並ぶドイツ生まれのスポーツカーだ。スバル(富士重工業)と同じく「ドドドド・・・」という独特の音を奏でるエンジンが水平対向型だということは、ちょっとクルマに詳しい人なら知っている話のひとつである。
ボクスター/ケイマンが4気筒エンジンに転換の衝撃
そのポルシェがこの春に発表したニュースが自動車業界内外で話題になっている。オープンカーの「ボクスター」とクーペの「ケイマン」という2タイプで構成する「718シリーズ」に、同モデルでは初となる4気筒エンジンを投入したことだ。
1996年の登場以来、ポルシェのエントリーモデルであるボクスター/ケイマンは6気筒エンジンを搭載し続けてきた。排気量は若干小さいものの、基本設計はフラッグシップモデルである「911」のそれと同じであり、生産上のスケールメリットを享受するとともに「911の弟分」としての認識を得ることで、それまでのポルシェでは911以外で唯一のヒット車種となっていた。
そのボクスター/ケイマンが4気筒エンジンに転換した。排気量2リッター・ターボエンジンの標準モデルで300馬力(ps)、同2.5リッター・ターボエンジンのSモデルで350psという最高出力は、従来型を25~35ps上回り、少し前の「911カレラ」に匹敵する。コンパクトなスポーツカーには十分すぎるほどの値だ。それでいながらCO2排出量および燃料消費の点では、従来型より14%も低い水準を達成しているという。
今回モデルネームに冠した「718」とは、4気筒水平対向エンジンをドライバーの背後に搭載し、1958年のル・マン24時間レースで軽量クラス優勝を遂げたレーシングカーの車名である。燃費を向上させながらパワーアップも実現、とはいいことづくめに思える新型。ところが実は一部の愛好家からは、「やはりポルシェも時代の波には逆らえなかったんだな……」と、全面的に歓迎されているわけでもないようなのだ。
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