日産GT-Rが全面改良をまったく急がない理由 登場9年の大胆チェンジで何がどう変わったか

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このように、GT-RとGT-R NISMOにスペックや走りの差があるものの、GT-Rの「GT」と「R」の比率をバランスさせているだけで、基本的な考え方は変わらない。

「誤解してほしくないのは、GT-RとGT-R NISMOを分けることが目的ではありません。本来は一本のベクトル、一本のソリューションでできれば最高ですが、値段的にも乗り心地的にもコイルバネを使っている以上は難しいです。フル油圧アクティブサスでなら何でもできますが、重いし壊れやすいし高価なので現実的ではありません。GT-Rの立ち位置や価格帯を考えると、現時点ではベストな選択だと確信しています。

ちなみに販売比率はいなしの効いた普段使いのできる足のGT-Rが7割、硬い足のGT-R NISMOとトラックエディションが3割ですが、これはR34時代のスタンダード&MスペックとVスペックの比率とほとんど同じ。実は『GT-R 7:3の法則』は脈々と受け継がれています(笑)」。

田村氏に買うならどのグレードを選ぶか聞いてみると、「トラックエディションです。見た目はさり気なく、秘めたるポテンシャルを秘めているモデルが好きなので(笑)」

販売計画をすでに超えている

2017年モデル

販売面ではGT-RとGT-R NISMOの受注(先行申し込みも含む)が発売後1カ月で858台を突破。ちなみにGT-Rの今年度の販売計画は800台だが、それを軽く超えてしまった……と言うわけだ。特にGT-R NISMOは受注の多さに一時オーダーを止めてしまったほど。

その多くはR35 GT-Rの初期モデルからの乗り換えが多いそうだ。これまでも「最新のGT-Rは最良のGT-R」であったが、最大規模の内外装のデザイン変更、そして走りの変更の効果は絶大だ。

もちろんこれがゴールではなく、GT-Rの目指す「究極のドライビングプレジャーの追求」のために、今後も開発は続くのは間違いないだろう。

山本 シンヤ 自動車研究家

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やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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